ニッケイ新聞 2009年9月5日付け
「飲んでいかんかぁ?」との誘いに、「仕事中なので…」と横に振った手が、思わず伸びた。
大酒飲みに見えなくもない―東京農業大学OBの下條昭弘さんに差し出されたのは、「カムカムドリンク」。ペルー在住の後輩鈴木孝幸さんが、母校と手を組み、日本で販売しているものだ。
ビタミンC豊富な熱帯果実「カムカム」に目をつけた。商品化と販売は学生らが行い、搾取されがちな農家を守るために公正取引をするフェアトレードの形を取る。
母校と南米で活躍するOBの交流が人の行き来に留まらず、もの作りを通じ互いに利益を生み出しているのは、農大ならではのスタイルだ。
八月に創立三十周年記念シンポを終えたばかりのブラジル農大会。ペルーに負けじとばかりに熱帯果実を売込みたい―とOBらの威勢の良い声が聞こえている。(親)