G20財務・中銀会議=自己資本比率を決定=ブラジルの銀行は資本倍増を
ニッケイ新聞 2009年9月9日付け
中央銀行のメイレーレス総裁は六日、G20財務相・中銀総裁会議から帰国し、第一声「銀行自己資本の比率規制強化の方向性決定」を通告と七日付けエスタード紙が報じた。ブラジルの銀行は、最低資本を現在の二倍にせよという通達だ。
経済成長期に生み出した余剰資本を保有最低資本に加え、経済危機を克服せよというのがG20の出口戦略という。ブラジルは最悪期を脱出したことで、これからの剰余金をさらに資本金へ上積みするのがブラジルの出口戦略と見ている。
各国中銀は来る三カ月間、マクロ経済のクレジットの増加状況やGDP(国内総生産)の動向、金融活動の営業益などの指数を基礎に、好況また不況の判断基準を設定するとも発表した。
一方、各国政府は年末までに、出口戦略を数字で具体的に決める。メイレ―レス総裁は、ブラジルの最低資本は一〇〇%増になるべきだと見ている。G20は自己資本比率を量・質ともに充実した方向性を求め、銀行の破綻防止に努めるという。
さらにG20は、銀行が経営危機で政府に公的資金の投入を求めてはならないと決定。そのために銀行は有価証券のような流動資本に頼らず、損失を自己決済できるような資本力を育てることを要求した。
ブラジルは、今回G20が決定した規制を容易に克服できると、メイレ―レス総裁は見ている。G20の出口戦略が要求する八%の資本準備金を、国内の銀行は補給できる状態にある。ブラジルはこれを、一七%設定を制定する考えだ。
ブラジルがG20規制基準を容易に消化できるのは、強制預託金制度によって既に訓練されていたからだと中銀総裁がいう。G20の判断では、国際金融システムは、病気が治癒したわけではない。まだ全体では、金融危機を克服していない。
国際決済銀行(BIS)は、危機克服と安堵するのは、まだ早いと警告した。各国は財政出動で急場を凌いだが、システム改革を早く実施しないと、先物リスクがこれまでの努力を無にするとBISが見ている。