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季節はずれの嵐が猛威=カオスと化した大サンパウロ市圏=混乱に輪をかけた電話不通

ニッケイ新聞 2009年9月10日付け

 アマゾンから南下した湿気を帯びた暖気と南海上からの寒気がぶつかって起きた季節はずれの嵐が八日に吹き荒れたと九日付伯字紙が報じた。
 寒冷前線による冬の嵐は、サンパウロ州や南大河、サンタカタリーナ(SC)、パラナ三州で、七人の死者と多くの負傷者や倒壊家屋などを記録。サンパウロ州では固定電話の通信障害なども混乱を大きくした。
 南部三州では風の被害が大きく、SCでは四人死亡、一〇二人負傷。家屋の全半壊も起きたが、南大河州とパラナ州では死者は出ていない様だ。
 一方、雨や雹の被害が報告されたのは海岸部や内陸部を含むサンパウロ州。
 特にサンパウロ市での雨は一五時までに六二・六ミリ、夜にはほぼ七〇ミリに達し、チエテとピニェイロス両マルジナルの冠水やセボロン閉鎖、九〇カ所以上の洪水など、夏の雨以上の害をもたらした。
 また、八日間で一一三ミリと九月の平均降水量を三九・五%も上回った雨で地盤も緩み、サンパウロ市東部イタケーラ地区で三歳と八歳の兄弟が土砂崩れのため死亡した他、オザスコ市でも婦人一人が死亡、子供三人が行方不明に。負傷者の中には重傷者もいるという。
 サンパウロ市の治水問題は慢性化しているが、二〇〇五年五月以来のマルジナルの冠水が、〇五年の約半分の雨で発生したことは政策の問題ともいえる。
 カンピーナス大学ロベルト・ワタナベ教授は、ジャルジンスとアリカンドゥヴァ地区を対比し、雨水を吸い込み急激な河川増水を防ぐ土の部分や温暖化を防ぎ保水作用も持つ木の減少に加え、地下排水施設の欠如で治水は悪化の一途と指摘。マルジナル拡張工事は水害を増し、五年後はチエテ川浚渫工事以前の状態に戻るとの発言もある。
 また、サンパウロ市が清掃費削減後、各地でゴミ山積との報道直後の雨で、路上のゴミが排水口を塞ぎ、地下の排水施設を埋めたりして状況悪化との批判も。警察や消防への通報三〇〇〇件に影響したと見られる固定電話の通信障害も、保守作業不備で回線に水が入った可能性が指摘されている。
 土砂崩れで妻を亡くし子供も行方不明となったオザスコの男性は、消防の救出作業中断後も鍬を手に一人で子供を捜そうとしたとも報じられた。