ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | 機種選定=兵器産業に異変が=軍事機密の提供解禁時代へ

機種選定=兵器産業に異変が=軍事機密の提供解禁時代へ

ニッケイ新聞 2009年9月11日付け

 仏戦闘機の売り込みに刺戟されて米ボーイング社は九日、米国伝統の軍事機密移譲禁止を破り、ブラジル空軍への軍事技術公開つき超音速戦闘機の売り込みを打診と十日付けジアリオ・ド・コメルシオ紙が報じた。
 機種選定は数々のプラス・アルファーが付くフランスのRafale戦闘機に、伯仏両首脳の合意で決まったが、受注契約書に署名するまでは交渉段階であり、いつ白紙に戻るか予断を許さない状態といえそうだ。
 米軍事技術移譲付き売り込みは、オバマ米大統領の了承を得て行なわれた。在伯米大使館も「米議会の技術移転無制限承認の公文書」を掲げ、フランスに優るとも劣らぬ条件をつけて戦闘機売り込みに力を入れている。
 七日の大統領府発表で米国とスウェーデンは、フランスよりも有利な条件を提示してきた。機種選定は政治的見地と戦略的見地で判断し、最終結論が十月、ジョビン国防相に提出される。
 潜水艦はブラジルのオデブレヒト建設会社とフランス社の合弁で、イタグアイ造船所で建造される。第一号は、二〇二四年の進水予定で原子力潜水艦となる。
 国防省が機種選定を十月末と公表し、九月七日ルーラ大統領が仏機に機種選定を決めたことを公表。米国とスウェーデンが出し抜かれたことで、マルコ・A・ガルシア国際担当顧問が外交的悶着はないと釈明した。
 ブラジルの軍拡計画は先が長いし、軍事協力の意向を示した米国やスウェーデンとも折衝の機会は多分にある。米国は議会を挙げ、ブラジルへの軍事協力に乗り気だ。
 ルーラ大統領は、事態急変に驚いている。米国は、エンブラエル製超音速機スーパー・トゥカーノのベネズエラへの売却を禁じたばかりだ。