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「日本の心」残した村に=サンタカタリーナ=ラーモスさくら祭り盛況=1千人に手作りのもてなし

ニッケイ新聞 2009年9月11日付け

 サンタカタリーナ州フレイ・ロジェリオ市と同市のラーモス日伯文化協会(尾中弘孝会長)は五、六両日、ラーモス移住地内さくら公園で「第十二回さくら祭り」を開催した。手作りの祭りとして毎年好評を博している同行事。近隣の町や遠くは州都フロリアノーポリスからの来場者もおり、約一千人が日本文化に触れ、楽しんだ二日間となった。
 山桜、雪割桜など二千本、つつじ、藤の花が満開となったさくら公園。七夕飾りが彩りを添え、好天の下、鯉のぼりが優雅に泳いだ。
 初日の五日午後六時半から開会式が開催され、佐藤宗一在クリチーバ総領事夫妻、州知事代理ニルソン・ベルランダ州開発局長官、フレイ・ロジェリオ市のイヴォネッチ・フェリスビーノ市長、イデリ・サルバッティ上院議員、クラウディオ・ヴィナッチ下院議員、サンタカタリーナ日系協会連合会の佐藤マリオ会長ら多数の来賓が列席した。
 舞台と観客席の上には、竹を組んでシートをかけた屋根。手作りの舞台上では二日間通して、同移住地の子弟による剣道型や日本舞踊、盆踊りなどの日本文化が披露された。
 パラグアイ・イグアス移住地の太鼓グループ「鼓太郎」と「鼓組」も初めて同祭りに参加して力強い演奏を披露。また、ブラジルで公演活動中の井上祐見歌手は両日舞台に立ち、観客と一体となって熱唱、祭りに花を添えた。
 日本政府の草の根無償資金で昨年七月に完成した観光物産館「八角堂」ではこけしや盆栽、生け花、琴などが展示され、終日興味深げに見物する人が見られた。今年四月に日本から贈られた七段飾りの立派なお雛様も展示され、注目を集めていた。
 農村観光を進めるラーモス移住地。同文協会館内では手作りの味噌、干し柿、竹細工、梨のシロップ漬けなど地元の味を販売し、ほぼ完売する賑わい。また、婦人部手作りの焼き飯や、男性陣が作るヤキソバが用意され来場者をもてなした。
 二日目午後三時から、同公園内の一角にある、東屋を改造した茶室で、一九七六年に入植した山本和憲さん(60、千葉)の長女ジュリア織絵さん(30、二世)による点前が披露された。用意された三十席は全て埋まり、茶室の周りを百人以上が取り囲む人気。
 祭りの最後は舞台で餅つきが行われ、地元の青年たちが手伝う中、年季の入った杵と臼を使って来場者は楽しそうに「よいしょー」と杵を振るっていた。
 尾中会長(七一年入植、57、奈良県)は「日本文化の素晴らしさを、少しでも多くの人に見てもらえることが嬉しい。剣道や太鼓などを通じて日本の心を残した村にしていきたい」と感想を語った。