ニッケイ新聞 2009年9月12日付け
地球温暖化が叫ばれる中、一九七〇年以降、政府自らが呼掛け、日系組合なども大きな貢献をしてきたセラード開発に黄信号が灯りそうだ。
十一日付伯字紙によれば、二〇〇二年から二〇〇八年にかけてのセラードの原生林損失は、年間平均二万一三〇〇平方キロ。同時期のアマゾンの年間平均一万八三〇〇平方キロを上回る上、今年のアマゾンの伐採予想面積の二倍に達する可能性もある事が判明した。
〇二年当時は、五七・五%残っていた原生林が〇八年には五一・二%に減り、減少率の高さは大西洋沿岸森林地帯(マッタ・アトランチカ)に次ぐセラード。
同期間中に伐採が多いのは、マラニョン、マットグロッソ、ミナス州で二万平方キロ以上。ゴイアス、バイア、トカンチンス、南マット・グロッソ州も一万平方キロ以上だが、面積比でみた開発度では、ゴイアスや南マット・グロッソ、ミナス、サンパウロ州が群を抜く。
気候変動期の動植物の避難所としての役割もあり、動植物の種類の多さはアマゾンに次ぐといわれるセラードは、やせた赤土の所も多いため、その開発は、灌漑その他、農業技術開発も含む多大な努力の賜物だ。
従来は開発促進が叫ばれ、所有地の三五%(他の地域は二〇%)までの伐採が許されているセラードには、アルコール生産のためのサトウキビ畑や食料増産のための大豆畑などが広がるが、今回、環境相が声を大にして叫んでいるのは地球温暖化のための乱伐防止。
アマゾンの木も、セラードの木も、温暖化や二酸化炭素排出という意味では、同じ重さを持つというのがその論で、今後は、アマゾン同様に衛星システムによる原生林の伐採管理を徹底すると共に、保護区域も現行の七・五%から一〇%に拡大する意向だ。
灌漑や水力発電用水源確保のためにも原生林保護や乱伐防止は必至。乾季には植物も枯れた状態になるセラードの衛星管理は機能するかなどの課題は残っているものの、国土の四分の一を占めるセラード伐採による二酸化炭素排出は、工業生産や交通手段によるもの以上となれば、環境省も保護対策に本腰をあげざるを得なくなった様だ。