ニッケイ新聞 2009年9月12日付け
「羊頭狗肉」は「ヒツジの頭を看板にしてイヌの肉を売る。見かけがりっぱで、内容がともなわないことのたとえ。見かけ倒し」だそうな。中学の国語の先生は漢文を専攻した好々爺ながら授業は厳しく「人は嘘をつくな」と、この難しい語句を教えてくれたものだが、この世の中にはとかく偽りが多い▼これはもう熊さん八つぁんに始まり政(まつりごと)にいたるまでーなのである。民主党が社民党、国民新党と合意した連立合意の政策も同じとは言わない。しかし、かなりあやふやなところがあるのも否定できない。官僚政治からの脱却と消費税の据え置きは3党の選挙公約なので筆を擱くが、外交・安全保障については疑問が残るし、社民党が普天間飛行場の移設計画見直しをと日米同盟を引き裂くような主張もしている▼これはまあー「見直しの方向で臨む」の抽象的な表現で落ち着いた。政権が交代するのだから政策が異なるのは当然にしても、国の安全を守ることと外交の基本が逆転する愚はなるべくさけたい。郵政事業の抜本的見直しを求める「郵政改革基本法案」の早期成立も、「官から民へ」の潮流を押しとめてしまうのは如何なものか▼社民と国民新党の申し立てがこうも重いのは、民主党が参院で過半数に足りないためであり、衆院でも308議席を獲得したが再可決に必要な320議席はない。こうした戦略と戦術的なものが絡みあっての「モザイク政権」と見るのが正しいのではないか。もし来年の参院選で民主党圧勝となれば、社民・国民新党の力は弱まり、ここ暫くは民主政権の安泰となるーそんな気もするのだがー。 (遯)