ニッケイ新聞 2009年9月15日付け
今週末まで行なわれる「第二十九回花と苺祭り」(オルトランジア協会主催)では、華やかな菊人形が来場者の目を引いていた。
バラやカスミ草、カーネーションで有名なアチバイア。松岡春寿さんが一九五六年にウルグアイとアルゼンチンから苗を持ち込んだ菊の切り花でも名を馳せた。
その後、八〇年代に雇用青年らが中心となり、栽培が進められた菊の鉢は現在、ブラジル一の生産量を誇る。
菊について調べてみると、日本では奈良時代以降に中国から渡り、江戸時代に改良が進んだ。
不老長寿の花と言い伝えられ、九月九日の「重陽の節句」には、九本生けて長寿を願うという風習もあるよう。
違う経緯で発展しても同じ魅力を放つブラジルの菊の花―。その一輪一輪に日系社会の〃長寿〃と繁栄の願いがこもっている。 (裕)