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外国人の農地所有再規制=郡面積の10%以下=狙われる法定アマゾンに=不在地主に門戸閉ざす

ニッケイ新聞 2009年9月16日付け

 政府は十四日、法定アマゾンにおける外国人の農地所有が郡面積の一〇%を超えないとする農地所有規制法案を、上程の意向であることを明らかにしたと十五日付けフォーリャ紙が報じた。従来の規制は、二五%であった。同案が適用されるのは、北伯諸州とマット・グロッソ州、マラニョン州の一部。それ以外は、従来通り。外国人は、国内在住の外国人と外国人法人、外国資本の国内法人の三種を対象とする。同案は昨年上程が検討されたが、金融危機で外資流入の抑制を懸念して中止した。

 ブラジルで外国人が所有する農地は現在、三百六十万ヘクタールある。これは台湾の面積に匹敵する。多いのはマット・グロッソ州の七十三万七千七百ha。次いでサンパウロ州の五十二万八千二百ha、南マット・グロッソ州の四十八万七千六百ha、パラナ州の三十一万六百haなど。
 同案執行の目的は、外国人による法定アマゾンの占拠防止と国家主権の確保。同案の適用範囲では、国内在住の外国人個人の農地所有上限が、五千ヘクタール以下から、一カ所集中で千五百ヘクタール以下、散在で三千ヘクタール以下となる。
 一九七一年に制定された現行の外国人農地所有規制法は、集中と散在に関らず五十MEIs(一MEIsは未開拓の農地百ヘクタール)以下となっていたが、これを十五MEIsに制限するもの。不在地主には、門戸が閉ざされた。国外の農業法人も購入禁止。
 国境から百五十キロメートル以内の外国人による農地取得は、大統領直轄の国家国防審議会の許可を要する。同審議会は、国防相や法相、上下両院議長、陸軍司令官で構成される。
 外国人の農地所有は現在、三万四千物件ある。この中には、多数の名義賃貸人がいる。同案が承認されると、国家公証審議会が設立され、外国人の農地取得と使用目的を監督する。同案に該当しない夫婦の一方が外国人で農地所有者となる場合は、改めて審議する。
 不在地主による土地転がし目的の農地所有も問題だが、国家主義的な政策も短命という批判がある。とかく法定アマゾンへの外国人介在は、国際管理の尖兵という疑惑の目で見られる。アマゾン熱帯雨林は八カ国に跨り、その半分がブラジル領にある。