ニッケイ新聞 2009年9月17日付け
ウナスール(南米同盟)外相・国防相会議は十五日、エクアドルのキトで加盟十二カ国の外相や国防相を集め、南米安全保障協定締結を目指して開催された。しかし、米コロンビア軍事協定によって加盟国を侵犯しないとする法的保障と軍事基地の査察をコロンビアへ求めたのに対し、同国は孤立を深めても拒否の姿勢を貫き、事実上の決裂と十六日付けエスタード紙が報じた。烏合の衆視されるウナスール会議が再度空転し、南米は各国が軍備強化へ走ることが予想されると米国務省が懸念した。
会議は九時間にわたり、熾烈な議論が交わされたが、不可侵条約の合意には至らなかった。同会議は、同地域の将来に憂慮すべき不発爆弾を抱えたまま閉幕した。
コロンビア政府は、ウナスール加盟各国が有する各々の軍事協定に対しても、非容認の意向を示した。また同国代表らは、米コロンビア軍事協定と加盟各国の武器購入を、国内事情が全く異なるので同等扱いにできないことを強調した。
しかし、アモリン外相は、加盟各国が有する軍事協定に対し、完全な公開と透明性を会議声明書に明記すべきだと要求。これは、コロンビアの南米での孤立化を図る布石と見られる。
地域外からの駐留軍介在と軍事施設の査察が、同軍事基地を俎上に上げ、コロンビアを被告席に座らせる戦略といえそうだ。同国が援護射撃を期待していたペルーやチリも沈黙を守った。
ベネズエラ政府は、ウナスールが代わってコロンビアをも含めた地域の安全保障協定を締結する南米和平案を提出した。これはFarc(コロンビア解放前線)を合法団体として容認する陥穽であるとして、コロンビア代表が拒否した。
米国務省は、南米の軍拡競争を憂慮すると声明を発表。チャベス大統領は先週、ロシアから地対空ミサイル一式を購入、続いて大型戦車百台を発注。同国のマドゥロ外相は、武器購入がコロンビアへの対抗手段であって、悪例をつくった米国は何も批判する資格はないと反発した。