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総弁護庁総裁=トフォリ氏が最高裁判事か=PT推薦で8人目=らしくない裁判官との評判も=バチスチ亡命裁判に影響

ニッケイ新聞 2009年9月18日付け

 最高裁ジレイト前判事の死亡にともなう後任推薦で、ルーラ大統領は十六日、総弁護庁のジョゼ・D・トフォリ総裁を指名する可能性が強いと十七日付けフォーリャ紙が報じた。正式就任には、上院が口頭試問を行なう。これで最高裁のPT(労働者党)推薦判事は、八人になる。同総裁がバチスタ容疑者の身柄引渡し前に最高裁判事へ就任すると、判決保留の同法廷に新しい展開が予想される。トフォリ氏は、マリリア市出身。サンパウロ大学法科卒、ブラジル国憲法と親族法の権威。四十一歳。

 トフォリ氏には先週、大統領側近から打診があった。大統領は十六日、朝の会議で即時就任の正式招聘を表明した。これでPT政権推薦は八人目だが、エロス・グラウ判事がルーラ政権終了とともに引退の意向を表明したので、九人目を推薦する可能性もある。
 同氏の最高裁判事推薦には、野党の強い反対が予想される。同氏は与党の弁護士を、七年にわたって務めたからだ。しかし、現在の野党には政府の政策を阻止する力がないと見ている。
 最高裁のメンデス現長官もカルドーゾ前政権時代、総弁護庁総裁から最高裁判事へ抜擢された人物だ。だからPT政権の総弁護庁から最高裁へ移っても、野党にとやかくいわれる筋合いはないと政府は見ている。
 総弁護庁総裁は立場上、政権とのしがらみがあり判断に政治色があるのは否めないから、最高裁判事に不適任という見方がある。だがPMDB(民主運動党)や連立各党には、同氏の最高裁判事推薦の賛同を得た。
 同氏の個人的評判は、裁判官には見えないという。学生時代は、ピッツア店でアルバイトをしながら苦学。卒業後、判事志望で国家試験を受けたが、二回も不合格。憲法の権威だが、博士号は持っていない。八人兄弟。口数は少ない。パルメイラス・ファン。
 社会運動に加わり、キナリア前下院議長(当時はサンパウロ州議)と接触したのがPTとの縁。前政権の政策が、しばしば連邦令に抵触するとして直接訴訟で告発、法務手腕がPT内で認められた。
 やがてルーラやジルセウの知己を得る。PTの主任弁護士にはなれなかったが、ジルセウ官房長官の法務担当となる。ルーラ再選で謝礼に百万レアルを貰い、初めて自宅を購入した。