ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | ホンジュラス=セラヤがブラジル大使館に寄留=突然の亡命願い=山や谷を徒歩で越境帰国=ブラジルは駆け込み寺?

ホンジュラス=セラヤがブラジル大使館に寄留=突然の亡命願い=山や谷を徒歩で越境帰国=ブラジルは駆け込み寺?

ニッケイ新聞 2009年9月23日付け

 ホンジュラスのマヌエル・セラヤ大統領は21日、追放後85日を経て突然、予告も了解もなく現れ、在ホンジュラスブラジル大使館に亡命者のように寄留と22日付けフォーリャ紙が報じた。同大統領帰国の報に接した支持者らが、街頭に出て歓呼の声で迎えた。一方、臨時政府は同大統領の拘束を宣言し、ブラジル政府に対し身柄引渡しを要求した。同大統領は臨時政権との対話の間、ブラジル大使館の保護をブラジル政府に求めた。アモリン外相は、寄留が同大統領の個人的判断であることを発表した。

 セラヤ大統領は2日間、国境検問所を避け山や谷を徒歩で越え密入国者のように祖国へ帰国したという。立場を理解してくれたルーラ大統領に感謝するというが、ブラジルは時限爆弾を抱え込んだといえそうだ。
 ホンジュラスへの越境侵入は過去に2回試み、失敗したと述懐した。同大統領と妻、ホンジュラス国会議員の3人でブラジル大使館へ駆けつけた。大統領は玄関前で待ち、妻が亡命申請を行った。
 ブラジル大使館員が本省へ電話して亡命了承を取り付け、入館が許された。臨時政権は同大統領が国連事務所へ身を寄せるとみて、目を光らせていたようだ。臨時政権は大統領帰国の報に接し、国内の4空港を封鎖した。
 当地のブラジル大使館周囲は、セラヤ支持者が詰め掛け大騒ぎ。大使館は大使の執務室がトイレ付きなので、夫妻の寝室に使っている。要塞のような米大使館と違い、暴徒に襲われたら心配。
 同大統領はしばらく、大使館の窓から支持者にサインを送る。しかし、大使館から一歩を踏み出すなら、支持者の肩に担がれるか、潜んでいた官憲当局に捕らえられ刑務所へ放り込まれるかだ。
 ルーラ大統領は「ブラジルは軍事クーデター政権を認めることはない」と公言し、大使館へ危害が加わることを憂慮すると述べた。同大統領がメキシコでもベネズエラでもなく、ブラジル大使館を選んだことで喜んで迎えるという。同大統領は慣れない密林の中の逃避行で疲れたようだ。