ニッケイ新聞 2009年9月23日付け
金融危機突入直前に行われたブラジル地理統計院(IBGE)の全国家庭調査(Pnad)結果が報告され、2008年には正規雇用と所得が向上し、社会格差と失業率が改善と19日付け伯字紙が報じた。社会格差改善は、所得の向上や生活扶助、年金支給などによるというが、特に大きな要因は所得向上という。
ルーラ政権初年の2003年に9・7%だった失業率は、08年には同政権下最低の7・2%を記録。同時期の平均所得も888レアルから1041レアルに増え、D、Eクラス(家庭収入が1115レアル未満と468レアル未満)は、03年の4690万人から4540万人、4930万人から2990万人に減り、人口比では24・4%と16%となった。
これは、家庭収入1115~4807レアルのCクラスや、4807レアル以上のABクラス増加も意味し、各々、03年の6590万人から9180万人、1330万人から1940万人に。人口比は49・2%と10・4%となっている。
また、家庭内労働を除いた正規雇用は2007年より210万人増え、労働人口に占める割合も過去最高の34・5%を記録。正規雇用の増加は労働人口増加と比例し、就労可能な国民1億6060万人中、57・5%の9240万人が就労。07年の57%を上回り、雇用が拡大されたことを明らかにした。
今回発表のデータをもとに、22日付けエスタード紙は、03年から08年のCクラス以上の人口増は3200万人で、耐久消費財などの購買力が14・98%向上、所得の向上は28・32%と報道。同フォーリャ紙も、同期間中にEクラスは43%、Dクラスは8・9%減少、CクラスとABクラスは31・1%と37・1%増加と報じている。
ただ、富の集中はまだ続き、労働人口の10%に当たる高所得者が得た給与などの報酬額は、報酬総額の42・7%。43・3%だった07年より減り、労働人口の10%に当たる低所得者が得た報酬額も1・1%から1・2%に向上したから、所得分配はより公平になり、社会格差は是正されたというが、改善率が低いのは否めない。