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ホンジュラス=伯大使館包囲でいぶり出し=臨時政権が実力行使=国連安保理に善処求める=ブラジルは南米の憲兵?

ニッケイ新聞 2009年9月24日付け

 ホンジュラス臨時政権の治安部隊は22日、在ホブラジル大使館を包囲し、寄留中のセラヤ大統領に対し催涙ガス弾によるいぶり出しと鼓膜を破る騒音作戦を開始と23日付けエスタード紙が報じた。治安部隊は、大使館周辺に集まった大統領支援者多数も強硬手段で鎮圧した。臨時政権は同日朝、ブラジル大使館の水道や電気、電話など生活ラインを切断。ブラジル政府は治外法権維持とセラヤ大統領の身柄の安全確保のため、国連安保理事会に緊急会議召集を要請した。

 中南米紛争を扱うのはOAS(米州機構)であると、ブラジル政府は考えている。国連安保理事会への善処要請は、OAS事務局長とアモリン外相、OAS加盟諸国の国連大使が出席する会議で決められ、マリア・L・ヴィオッチ国連伯大使が署名した。
 大使館員や館内に入り込んだ大統領支援者は一時300人を超えたが、支援者の多くは22日午後退去。館内に留まっている70人は自家発電生活を余儀なくされている。アモリン外相によれば、食料は赤十字などから供給されているという。
 国際社会がクーデターによる政権奪取を認めない中での武力行使には、国連安保理事会の判断を仰ぐ。だからセラヤ大統領が個人行動で余計な問題を起こすなと、ブラジル政府がけん制した。
 セラヤ大統領は話し合い解決を望んでいたが、事態は武力行使による身柄拘束と問答無用の思わぬ方向へ至った。最早ブラジルは、同大統領にとって溺れる者の藁となった。
 同大統領に隠れ家を提供したことでブラジルは、くすぶる中南米で火中の栗を拾うことになったようだ。
 ブラジルには歴代、南米の要という意識があり、90年代からは、パラグアイやペルー、ベネズエラなどの政情不安にも、仲裁役を買って出ている。
 例えば、カルドーゾ前大統領が96年のパラグアイ政変に関与。2000年にはペルーのモンテシーノス国家情報局顧問の逃亡に手を貸し、フジモリ政権存続に影響を及ぼした。
 ブラジル外交は90年代の米亜伯協調を1期とするなら、現在は2期で少し変化した。とかく民主制度の枠を中南米諸国にはめる。ルーラ政権になってから、米外交を真似て中南米の憲兵となった。
 ベネズエラが2002年に政治危機に陥ったとき、ルーラ大統領が「ベネズエラ友好国グループ」を立ち上げ、同国の野党をじゅうりんした。