ニッケイ新聞 2009年9月25日付け
大統領府と外務省は23日、ホンジュラスのセラヤ大統領帰還とブラジル大使館への避難が、ベネズエラのチャベス大統領の関与によるものであったことを明らかにしたと24日付けエスタード紙が報じた。ブラジル大使館が同大統領にとって最も安全な場所であり、同大使館以外の中米公館は臨時政権の治安部隊が踏み込む可能性があると、チャベス大統領が助言をしたという。ルーラ大統領は、国連で在外公館に対する治外法権の外交特権を順守するように国際社会へ訴えた。
ブラジルの外交的権威は、中米で一目置かれているようだ。ブラジル以外のメキシコやベネズエラ、コスタリカ、エル・サルバドールなどの大使館では、治安部隊の圧力からセラヤ大統領を守りきれないとチャベス大統領は軍事的見地から憶測。
ブラジルの背後には米国がいることをホンジュラス臨時政権は、まだ理解していない。ルーラ大統領は、ホンジュラス紛争を解決する用意があることを国連で宣言。
ブラジルはミチェレッティ臨時大統領に政権返還を要求し、11月の大統領選挙をセラヤ指揮のもとで行なわせる予定だ。また伯外務省は誰をも挑発しないため、セラヤ大統領に表立った発言を控えるよう求めた。
一方、臨時政権がOAS(米州機構)代表の訪問を容認したことは、態度軟化の変化と見ている。これで、セラヤ帰還による騒動に終止符が打たれるものと期待している。
ホンジュラスの首都テグシガルパは今、無政府状態にある。スーパーや銀行、商店は暴徒に襲われ、略奪放題で3日目を迎える。これまでに死者2人が出た。セラヤ側では10人という。
26日はOASや米政府、EU代表団が、ホンジュラスに事態収拾のため到着する。伯下院の議員団も参加する。セラヤ大統領は、臨時政権が強硬手段に出たのはセラヤ殺害による一挙解決が目的であると糾弾した。
ホンジュラスとエル・サルバドール国境が事実上の閉鎖となり空港も封鎖され、ホンジュラス国民は食料確保に奔走している。平和時には同国境はフリーパスであったが、今は隣国へ買出しにも行けない。