ニッケイ新聞 2009年9月26日付け
ホンジュラス臨時政権は24日、ブラジル大使館へ寄留するセラヤ大統領を操る内政干渉でルーラ大統領を糾弾すると通告したことを25日付けフォーリャ紙が報じた。臨時政権外務省の通告によれば「アモリン外相がセラヤ大統領の亡命について何も知らなかったとする声明発表は、国際社会を欺くもの。ホンジュラス国家の秩序を乱し、セラヤ大統領の身の上に万一のことがあれば、ブラジルの責任に帰する」と訴えた。それに対し、ルーラ大統領は「臨時政権は、合法政権を倒した不法政権であることを認識せよ」と全面対決の姿勢だ。
ブラジル政府は、臨時政権軍による大使館包囲直後、国連安保理に包囲解除についての臨時会議召集を要請した。臨時政権は24日、一旦解除した外出禁止令を夜間に限り再発令した。商店の略奪は鎮静化し、騒動は収拾しつつあるようだ。
空港も操業を再開し、国際便も発着を始めた。11月29日の大統領選へ向けて、臨時政権は準備を急いでいる。セラヤ支持派は、少数派であることを国際社会へ訴えたいらしい。
臨時政権の支持キャンペーンが、日増しに強化されている。セラヤを支援する国連やベネズエラ、ブラジルに対する抗議運動だ。「ルーラよ!らば(セラヤ)を連れて行け」の横断幕が多数ひるがえっている。
米ピッツバーグで開催されたG20首脳会合では、臨時政権の告発が議題に上がった。ルーラ大統領は「臨時政権の告発を信じるか。それとも私の言葉を信じるか」と出席者にたたみかけた。
伯外務省は、セラヤ大統領を客分として迎えるには全く差し支えないが、大使館を政治活動の舞台に使うのは迷惑だと警告した。25日付けサイトによれば、セラヤ大統領を守るため支援者10人は、武装していると報じている。
OAS代表団は26日に現地へ赴き、セラヤ大統領とミチェレッティ臨時大統領を直接対面させると在米伯大使館が報じた。しかし、国際間に重みのある人物が仲介しないと、対話は空転すると思われている。
対話の焦点はコスタリカのアリアス大統領案のセラヤ復帰による調整政権の設立だが、臨時政権が拒否した。アリアス案は、セラヤの急遽帰国で番狂わせになった。臨時政権は、大統領選を自前ペースで推し進めようとの魂胆があったからだ。
なお、25日付けサイトによれば、25日に臨時会議を開催した国連安保理は、ブラジル大使館包囲は不当と判断し、可及的速やかな包囲網解除の要請を決定した。