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ホンジュラス=臨時政権、10日間の最後通告=伯大使館に追加手段=大統領「無頼の徒」と対話拒否=微妙な立場になる伯外交

ニッケイ新聞 2009年9月29日付け

 ホンジュラスの臨時政権は27日、ブラジル政府に対して「在ホンジュラスブラジル大使館は10日後に治外法権などの外交特権を失う」と通告したことを28日付けエスタード紙が報じた。これは期限後に治安当局が館内に入り、セラヤ氏を拘束する可能性を示唆したもの。臨時政権はセラヤ氏の引渡しか、亡命者としてブラジル本国で受け入れるよう求めている。26日には10日以内に実行しなければ、追加手段を取るとしていたが、27日にルーラ大統領が拒否したため、さらに実力行使の可能性を明確にした。

 ホンジュラス臨時政権は27日、報道管制や交通管制、無許可の集会禁止などを含む、45日間の非常事態宣言を発令。と同時に、最後通告の期限後、ブラジル大使館を一般家屋と見なすと通告。しかし、この時点では家宅侵入には触れなかった。臨時政権はブラジルと外交関係がないため大使館の看板を下すよう要求した。
 最後通告を受けたルーラ大統領は27日、国家主権を搾取した無頼の徒と交渉する意向はないし、最後通告など意に介さないことを表明。
 セラヤ氏は客であり、ブラジル大使館に滞在する間、危険から守り匿う。しかし、ブラジル大使館を舞台に政治活動を展開するなら、大使館の外でやってもらう。アモリン外相は、セラヤ大統領に客分の心得を説明したが、よく理解しなかった。
 セラヤ大統領が、ブラジル大使館からホンジュラスの全国民に総決起と「セラヤへ全托を」と呼びかけたのは、アモリン外相の意向に反した。
 国際問題のアナリストは、同件をこう見る。ブラジルは穏便外交から多大な犠牲を余儀なくされる外交姿勢へ変わったという。伯大使館の壁は、外務省の意向に反し、セラヤ支持者にとって格好の防御壁となる。
 これが、もしも市街戦に発展し死傷者を出すなら、ブラジルも責任者として渦に巻き込まれる。客分として受け入れたセラヤ氏の口を封じることができないブラジルは、内政干渉で告発されそうだ。
 セラヤ氏の復権が叶わず11月、新大統領が選出されると、ブラジルはホンジュラスに不人気な政権を樹立したと恨まれる。新政権は国際関係の修復に努力し、ブラジルは中途半端な立場に置かれる。南米のリーダーは高い代価を払うと、関係者は見ている。
 ルーラ大統領は、クーデターによる政権奪取など許されない時代だという。ホンジュラス問題解決の処方箋は、唯一つ。セラヤ氏を大統領に復帰させて選挙を行い、次期大統領を選出すること。それをせずクーデターで政権奪取をし、八百長選挙を行なうなど時代錯誤も甚だしいと大統領は見ている。