ニッケイ新聞 2009年9月30日付け
ベネズエラのチャベス大統領によるホンジュラス紛争への関与が話題を賑わす中、上院外交委員会は10月1日、同国のメルコスル加盟を審議すると29日付けエスタード紙が報じた。
タッソ・ジェレサッチ上議(PSDB=民主社会党)は29日、同委員会へ起案を上程した。チャベス大統領がセラヤ大統領の後見役をかったことで、政治と経済が混同されそうな情勢だ。
上院外交委員会のアゼベード委員長は、ベネズエラのメルコスル加盟とテグシガルパの伯大使館問題を討議する臨時委員会を召集した。25日までは平穏であったホンジュラス問題は、28日のOAS(米州機構)で米国代表からのブラジル批判が出たことで情勢が一変し、心配になった。
臨時政権の非常事態宣言と伯大使館への実力行使、米政府のブラジル防空壕視など、外交官OBを集めて外交委員会が広く意見を聞く。
ホンジュラス紛争は当初、国際社会が臨時政権のクーデターを糾弾した。それが双方を咎める方向へ、妙に変化した。同件解決はOASの役目であったが、ブラジルが火中の栗を拾った。
この事実を上院が、見逃すわけに行かない。下院はベネズエラのメルコスル加盟を承認したが、上院は、チャベスとホンジュラスの関係を調査するため、議員団を現地に送る。上院は立場上、与野党に等間隔主義を採るからだ。
国家主権の名のもとに拷問や暗殺、人権じゅうりんが罷り通る国へのブラジルの応対は、ルーラ大統領が「無頼の徒」として対話を拒否している。しかし、中国やキューバなど専制主義国家への民主的手法の要求とホンジュラスの扱いは、これからの課題といえそうだ。