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最高裁=新判事にトフォリ氏決定=弱冠41歳PT党員=野党も支持する絶対多数=展開あるかバチスチ法廷

ニッケイ新聞 2009年10月2日付け

 上院は9月30日、ジョゼ・A・D・トフォリ元総弁護庁総裁を最高裁判事に賛成58票、反対9票で承認し、必要数41票を17票も超えたと10月1日付けエスタード紙が報じた。これで同判事は、イタリア政府から身柄引渡しが要求されている、亡命申請中のケーザル・バチスチ容疑者に関する判決審理に加わることとなった。同判事の参加により大統領府と最高裁の間で問題となっている同容疑者の処遇が、今後の展開で注目の的となっている。

 同件の最高裁判決は、身柄引渡しと亡命容認で4対4と伯仲している。トフォリ新判事の判決が、大統領府と最高裁の綱引きに断を下すことになりそうだ。41歳と若い同判事だけに、30年は最高裁判事として辣腕を振るいそうだ。
 同判事は病身の弟を助け、苦学をしながら雑草のように生き抜いて現在を築いた。絶対多数の賛成票を得たことで、野党も支持したといえる。
 PT(労働者党)党員であっても、偏見を超越したようだ。「PT党員は過去のことであり、ページはめくられた。今は国を第一義とする」と軽くかわした。
 PTの法的責任者として重責にあった者が最高裁へ横滑りすることで、ジアス上議(PSDB=民主社会党)とシモン上議(PMDB=民主運動党)のみが辛らつな言葉を浴びせた。
 「PTは子飼いの弁護士を送り込んで、最高裁を私物化するのか」「最高裁は政府に貢献した者への表彰台ではない」「司法官試験に2度も失格した者は、公共工事の土木現場も必要としてない」と皮肉った。
 メルカダンテ上議(PT)が助け舟を出して弁護した。「シモン上議はフランシスコ派の修道僧で日夜、いじめの修業をしている」と報復。
 同判事は「判事の権限は、法文に定めることはできない。だから2度の試験不合格が、最高裁判事への道を閉ざすものではない」と論破した。
 これで、最高裁判事10人のうち司法官出身は、エレン・グラシエ氏とリカルド・レワンドウスキー氏の2人となった。他は検察庁や弁護士出身、法曹学者。最高裁判事の人選は司法官枠があるが、歴代大統領は35歳以上65歳以下で自由に選任した。