ニッケイ新聞 2009年10月3日付け
沖縄県の信仰や風習、言葉など、在伯県系人における変容などを調査するため2週間、ブラジルに滞在していた琉球大学の調査団が調査を終え、9月21日、帰国前に挨拶のため本紙を訪れた。
調査団は琉球大学法文学部の町田宗博教授(移民論)、山里純一教授(日本古代史)、浜崎盛康教授(倫理学)ら3人。一行はスザノ、ビラ・カロン、サントアンドレー、ジアデーマ、カーザ・ヴェルジなどを訪れ調査した。
浜崎教授は、沖縄の信仰であるユタについての面接調査を実施、ブラジルの守護神アパレシーダを取り入れたり、移住先の宗教と折り合いをつけながら行われているなどと報告をした。
また、山里教授は一世の風習がブラジルでどのように継承し、社会に広まっているかを調査した。中でも沖縄では魔よけの意味で交差点などに設置されている石敢當(いしがんとう)の習慣が当地にも残っており、「少なくとも7基存在することを突き止めた」という。
町田教授はうちなー口(沖縄方言)が三世、四世にも伝わり、上手に話されている現状を説明し、沖縄県が条例で定める9月18日の「しまくとぅばの日」についても触れ、若者が方言を話さなくなっているが「県外に出た人が刺激をする。言葉を見直すきっかけを作ったのが移民の人たち」と語った。
調査団長の町田教授は「なかなか県系人の活動が見えなかったが、今回の調査では良く分かった」と感想を述べた。また2011年に開かれる「第4回世界のウチナーンチュ大会」に合わせて、シンポジウムを開きたいと意気込みを語った。
本調査は事業「人の移動と21世紀のグローバル社会」の一環で、グローバルな「人の移動」や「移民社会」の進展に伴い生じる地域内の影響や、「移動社会」への対応、社会・文化の変容家庭など、人の移動をめぐる地検の国際的な集約・統合を目指すもので、北米やハワイ、南米諸国やタイなどでも研究が行われている。