ニッケイ新聞 2009年10月3日付け
南米初のオリンピック招致に成功――。2日午後2時過ぎ、2016年夏季五輪開催地がリオデジャネイロに決定した。国際オリンピック委員会(IOC)はデンマークの首都コペンハーゲンで行われた第121回総会で投票を行い、リオ、東京、シカゴ(米国)、マドリード(スペイン)の4候補地の中から選出した。歴史的な南米初の開催決定に、地元リオや観光・運輸業界、スポーツ関係者から喜びの声が寄せられている。
開催が決定したリオ市は、「2日が任意祝日になったこともあって、コパカバーナ海岸はドンチャン騒ぎですよ」。声を弾ませて、地元の様子を電話越しに伝えるのは、リオ州日伯文化体育連盟の鹿田明義理事長。
「良かった」と繰り返し喜ぶ。「来年の事を言うと鬼が笑うというから先のことはね」としつつも、「多少は街が綺麗になったり、治安が良くなってくれることを期待してますよ」と地元の声を代弁。
「07年の(リオでの)パン・アメリカン大会では、政府が見積もった総予算の10倍の経費がかかった。ブラジルはそういう国だから、今回も関連業者は盛り上がるよね」と分析する。
「感動です」。開口一番、そうコメントを寄せるのは1972年にミュンヘン五輪柔道に出場し、初めてブラジルにメダルをもたらした石井千秋氏(68、栃木)だ。
南米初のオリンピック開催に、「ぜひ観戦したい。その頃には良い日系選手が育ってくれるといいが」と7年後をみすえる。
8月21日に着任したばかりの荒川吉彦・在リオ総領事は、「早々に招致の動きに関われて大変嬉しい。成功おめでとうございます」と話し、「リオと競えたことはとても光栄なことだった」と感想を述べる。「(新幹線などの)交通機関や社会経済基盤の整備など、いろんな所で日本はしっかり協力、貢献できる」と力説した。
一方、「今からブログなどで日本人向けに情報を流している」と用意周到なのは、リオのフラメンゴ海岸近くに構えるウニベル旅行社の大田容司代表。「14年にはワールドカップもありますし、リオの観光客も増えいろんな仕事も出てくるでしょうね」と期待を示した。