ニッケイ新聞 2009年10月3日付け
【リオデジャネイロ共同=名波正晴】砂浜の特設ステージに銀色の紙吹雪がずっと降り続いた。ビキニ姿でサンバのリズムに身を踊らせる女性に、天に腕をぐんと突き上げる男性。「パラベンス(おめでとう)」。2日、南米初の五輪開催が決まったリオデジャネイロ。青空が広がったコパカバーナ海岸には5万人以上の人々が詰め掛け、決定の瞬間を待ち焦がれ、歓喜に酔いしれた。
海岸線に奇岩が並ぶリオの名所ポン・デ・アスーカルをかたどった特設ステージ。午前中から人気の地元ポップ歌手がコンサートで気分を盛り上げた。舞台両脇には大型スクリーンが据え付けられ、コペンハーゲンで開かれている国際オリンピック委員会(IOC)総会の様子が生中継された。市民の多くが米シカゴを有力ライバル視していただけに、シカゴ落選がテロップで告げられると驚きの声が沸いた。
決定発表の午後1時半すぎ、ステージには歴代の五輪メダリストらが勢ぞろいし「その時」を待った。午後2時前、スクリーンに映し出されたIOCのロゲ会長が厳封された封筒を破り「リオデジャネイロ」と開催都市名を読み上げると、会場は歓声と悲鳴が大きくこだまし、コルコバードの丘のキリスト像を染め抜いた幅約30メートル、長さ約50メートルの巨大な旗が会場を埋めるように人々の頭の上に広げられた。
会場を訪れた技師のエリザベス・カルドゾさん(31)は「今日は素晴らしい1日。五輪は、より良い新たなリオの始まりを象徴する」と声を弾ませた。