ニッケイ新聞 2009年10月9日付け
【既報関連】国家高等教育試験(Enem)の問題が事前に漏れ、12月5、6日実施と決まった事で、高校や予備校、受験生、大学にまで混乱拡大と7、8日付け伯字紙が報じている。
問題の事前漏洩が判明した事で教育省が試験中止を決めたのは1日のことだが、12月の試験は大学入試や一部公務員採用試験などとも重なるため、教育現場も含む広範囲の人々に影響を及ぼすこととなった。
高校生や高校卒業生が受けるEnemは、1998年に導入されたもので、従来も、高校の評価や大学入試のボーナス得点などにつながるものとして重要視されていた。
それが、従来以上の重さを持ったものに変わったのが、今年のこと。
5月16日付け本紙でも報じたように、今回からは設問が増え、国立大学を中心に、入試そのものまたは一次試験として使う大学も増加。来年からは、年2回実施し、公立高校では義務化することにもなっていた。
それだけに、Enem始まって以来の事件の余波は大きく、サンパウロ総合大学(USP)やカンピーナス大学(ウニカンピ)のように、ボーナス加算をあきらめた大学の受験生の中には、Enem受験を放棄するケースも出てきそうだ。
従来なら一次試験の結果にEnemの点数の20%を加算していたUSPでは、公立高校出身受験生へのボーナス6%だけが有効となるため、絶望気味にEnem受験の理由を失ったと言うレナッタさんもその1人。
8日現在、リオ州立大学などは試験日程を変更したが、予定通り入試を行う大学もあり、決断を迫られた末のEnem受験放棄者や、ボーナス点を失い不合格となる、複数受験の機会喪失などの影響を受ける学生はそれなりの数に上りそうだ。
高校や予備校の教師達は、国立大学入試としても有効なのだから受験だけはと勧めるが、ハイレベル校受験生達のEnem受験放棄が起きれば、同試験を使った高校評価への影響もあり得る。
Enemの結果は2月5日までには出るため、来年度の授業開始には影響しないと教育省ではいうものの、二次募集のある大学などでは学年暦の見直しも必要になりそうだ。