ニッケイ新聞 2009年10月10日付け
ブラジルの祭り気分と米国の地盤沈下でサンパウロ市証券取引所は8日、株価指数を過去15カ月で最高の6万3759ポイントにつけ、今年に入っての累計では70%上げたと発表したことを9日付けエスタード紙が報じた。マンテガ財務相は8日、ブラジルを被う過度の楽観気分のために、高金利の穴場を狙う投機家の徘徊を懸念と述べた。国際的な外貨準備通貨とされるドルの基軸通貨としての地位が揺らいでいることで、アジア諸国の中央銀行は為替市場に介入し、ドル防衛に走った。
ドル通貨は8日、今年最低の1・739レアルにつけた。レアル通貨が世界的な上潮に乗って、喝采を浴びた1日であった。これは年末までに大量の外貨が、流入する兆候と見られている。
この調子で外貨がブラジルに入り続けるなら、2010年に1ドル1・60レアルは、避けられない。さらに1・50レアルにも達すると元通信相のルイス・M・バーロス氏がいう。こうなると輸出業界は、困窮度を増すことになる。
金融危機は基軸通貨としてのドルの地位を危うくしている。一方、レアル通貨は、コモディティ市場でも強いことから、国外で過大評価され花形通貨となっている。レアル通貨の過大評価はありがた迷惑なこと。
世界の投資家が、ブラジル投資で無我夢中になっているようだ。2010年、ブラジルの経済成長率は5%が精一杯と思われるのにだ。いくら金があっても、それ以上は消化不良を起す。
ブラジルは減税政策や政策金利の引き下げなどを打ち出し、2008年末と2009年第1四半期は金融危機の傷を治療し、今年第3四半期でようやく回復の兆しをみた。だから、今年のGDP(国内総生産)成長は1%程度と見ている。
足元も見ずに、はしゃぐのは危険だと財務相が警告した。消費者物価を中銀の目標インフレ率以内で抑えるように、政府は配慮している。それでも政府歳出の増加が、物価高騰に火を点けると中央銀行が注意した。
市場は基本金利を現行水準に抑え、2010年度GDP成長率5%以上を目論んでいることが伺える。しかし、財務相は金利引上げもインフレもなく、GDP5%とし、わが道を行く考えだ。
レアル通貨の高騰は、を反映したものではなく、投機家に弄ばれた結果だ。このような為替相場に、ブラジル経済が翻弄されないように注意する必要がある。