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子供持つ親や社会に衝撃=生活苦より物欲で売春=従来の考え覆す調査報告

ニッケイ新聞 2009年10月10日付け

 世界規模で青少年の性的搾取に取り組むWCF(チャイルドフッド)ブラジル支部が7日、10~17歳の少女達が売春によって得た金は携帯電話購入などに使われるとの調査結果を報告した。
 8日付けエスタード紙によると、8州の児童買春などを扱う専門施設で行った少女66人と少年3人への聞き取り調査の結果、65%の少女が、売春行為への報酬で携帯電話やテニスシューズ、流行の服などを購入したという。3週間以上寝食を共にし、信頼関係を築いた上での調査では、10人に3人は麻薬を使っていることも判明した。
 調査対象となった66人の少女の平均年齢は16歳。パラー、マット・グロッソ、南北リオ・グランデ、ピアウイ、バイア、セアラー、サンパウロ州在住者で、性行為開始年齢の平均は13歳だという。
 調査対象が少数で、年間800人は下らないといわれる児童買春や若年者強姦の氷山の一角にしか過ぎないが、「家庭が貧しく、食を得るための売春と考えられていた見方が変わった」というのは、コーディネーターでセルジッピ連邦大学心理学教授のエウデ―ル・C・サントス氏。
 売春行為の報酬は、現金82%、品物26%など。10~150レアルで春を貢ぐ少女達の家庭収入は平均で440レアルだった。
 麻薬購入資金を得る方法は、性行為36%、オーラルセックス8%、盗む12%、せびったりする48%で、売春を始めたきっかけは、友人の誘い52%、売春宿などに関係38%、父母の指示4・6%など。
 少女達の「携帯電話がなきゃ仲間じゃない」との発言は、08年9月7日付けエスタード紙の、アマゾナス州コアリでは、携帯電話で連絡を受けた少女が、バイクの迎えで相手の所に行くという記事とも関連する。
 携帯電話や衣服は売春行為を続けるための必需品ともいえるが、調査では、少女達の飲酒や喫煙、麻薬使用度が、通常の青少年よりずっと高いことも判明。「香水など、以前は買えなかった物も売春で得た金で買えた」とか、「自分は強姦被害者ではなく、売春行為者」といった発言は、性を売り物にする事への抵抗感が薄れている現状も反映している。