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CDMで世界3位のブラジル=温暖化ガス排出削減策は?=影響大きいエタノール生産

ニッケイ新聞 2009年10月14日付け

 地球温暖化が叫ばれる中、ブラジルの温暖化ガス排出削減努力にも世界が注目している。
 その一つが、13日付エスタード紙の、ブラジルは二酸化炭素ガス排出削減計画件数と排出削減量で世界3位だというもの。京都議定書に基づくCDM(クリーン開発メカニズム)は、先進国が開発途上国などで行う温暖化ガス排出量削減や吸収量増加に関する事業での排出量削減分の一部を、自国の排出量削減分に加えることが出来るというもの。先進国は国内よりも少ない労力や費用で排出量削減ができ、途上国側は先進国の技術や資金の恩恵を受けられる。
 このCDM関連で、世界で承認された5430件の計画中、ブラジル関係は8%の417件。件数では中国の37%やインドの27%に次ぎ、ガス排出削減予定量も、7年で3万6700万トン。セラード伐採による年間ガス排出量3億5千万トンを帳消しにする量だ。
 削減法は、サトウキビの絞りかす(バガス)による発電や小型水力発電などの再生エネルギー48・9%、豚の排泄物をバイオガスとして再利用16%、化石燃料(石油や石炭など)をガス排出量の少ない燃料に転換10%、ごみから発生するガス採取9%など。設備の効率化や機械化もCDMの対象となる。
 その意味で、サトウキビ製エタノールのガス排出量やサトウキビの作付面積規制、機械化奨励なども、ガス排出量削減に関係する。
 12日付エスタード紙は、米国のエタノール輸入枠拡張の可能性への言及と共に、サトウキビ製エタノールによるガス排出量は化石燃料の44%とする米国に対し、排出削減量は70%以上とのブラジル側の反論も報じた。
 エタノール生産には、サトウキビ栽培における大量の水や肥料使用、奴隷労働問題に加え、9月17日付フォーリャ紙や18日付エスタード紙が報じた、国土の81・5%でのサトウキビ作付け規制問題も浮上。13日付フォーリャ紙は、この方針に添い、砂糖やエタノールの新プラントがゴイアス州に進出と報じたが、刈入れ機械化による奴隷労働廃止と焼き畑による大気汚染の防止など、地域と業界の取組みにも期待がかかる。