ニッケイ新聞 2009年10月14日付け
ルーラ大統領は9日、ポウパンサ(貯蓄投資)からの所得税(IR)徴収が政治的にチャンスを逸したため議会への上程を中止と表明したことを10日付けフォーリャ紙が報じた。
選挙前年に5万レアル以上の預金者配当金に22・5%の課税は否定的印象をもたらし、岩塩層下油田の投資基準手続きに手間取ったことと共に不利であると判断した。大統領はブラジルの将来と選挙を秤にかけて、連立党へも打診した。
マンテガ財務相始め経済スタッフは、同油田への投資とポウパンサ所得税課税がブラジルの経済発展に不可欠の重要な政策と強調した。しかし、残念ながら苦心の案は、官房室から時期喪失と突っ返された。
大統領側近らは、基本金利は中期的に上がることはあっても下がることはないと見ている。だから岩塩層下油田の開発資金は、次期政権の課題という見方が強い。
ポウパンサへの課税案は、中銀が政策金利を1桁台に下げたことで浮上。そのためポウパンサが投資ファンドよりも有利となった。それで資金の移動を抑止するため、配当金減額を考えた。
投資ファンドは国債の資金繰りに使われるため、急激な減少は国債による資金調達に支障を来たす。またポウパンサの課税対象となるのは1%と僅かであるが、野党が逆用する恐れがある。
政策金利を引き上げれば、ポウパンサへの移動が止まるという見方がある。ポウパンサへの課税案は、5月に出された。次は9月。2回もつまづいている。しかし、一方では岩塩層下の油田開発を急いでいる。