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技術移住者第一号=山口正邦さん著書出版=「ブラジル技術移住者が見た世界」

ニッケイ新聞 2009年10月15日付け

 技術移住者第一号としてブラジルに渡った山口正邦さん(78、長野県出身、モジ在住)が今年、現在までに書き綴った文章をまとめた著書『ブラジル技術移住者が見た世界』(281頁)を日本の柏企画から出版した。
 昨年の日本人移民100周年と自身の喜寿を記念して実現。読売新聞長野版や長野市民新聞でも紹介され、話題を呼んでいる。
 山口さんは、長野工業高等学校工業化学科、日本大学工学部工業化学科で学んだ後、理化学研究所の科研化学株式会社で研究者として働き、1961年に妻と1歳の娘を連れて渡伯した。
 第1部『ブラジルへの技術移住第一号』では、工業財閥マタラゾ連合で、科学技師兼クエン酸工場長として3年間働いたときのマタラゾ伯爵とのエピソード、第2部『アメリカに留学したブラジル移住者』では「さくら丸」に乗って渡米留学した1年間の出来事が、臨場感溢れる文章で綴られている。
 第6部までは、約30年勤めたブラジル日本特殊陶業(NGK)を定年後、ブラジル、南米大陸、北米・欧州・南アフリカ、日本を夫婦で歩いてまわった旅行記となっている。
 定年後はモジ文協の副理事長やモデル日本語学校長を歴任し、現在はサンパウロ日伯援護協会の老人施設「あけぼのホーム」の経営委員長として活躍している山口さん。
 刊行に当たり、「僕は技術者なので世の中に申すことはしないのだが、僕が歩いた世界を読んだ人が、ちょっと利口になったような、そういう気持ちになってくれたら嬉しい」と笑顔で話していた。