ニッケイ新聞 2009年10月16日付け
ペトロブラスのジョゼ・S・ガブリエリ総裁は14日、岩塩層下油田の採掘が始まると、2020年までにサンパウロ州が国内第2の石油生産州に変貌すると発表したことを15日付けエスタード紙が報じた。生産量でエスピリトサント州を追い抜き、リオ州に次ぐ。サントス沖大陸棚油田は、予想を上回って広い。深さも多種、天然ガスもある。その大部分は、サンパウロ州に属する。ペトロブラス株はニューヨークで岩塩層下油田の開発投資基準を発表して以来、俄然、投資家の注目を引いたという。
ブラジルの石油開発は10州にわたって行なわれているが、希望の星として期待されているのはサンパウロ州。やがてサンパウロ州は、石油産業のメッカとしてブラジルを背負って立つ。ペトロブラスは8月、サンパウロ州では、ガスを除いて平均日産527バレルの原油を生産している。
リオ州は現在、平均日産150万バレル。エスピリトサント州は、日産9万400バレル。サンパウロ州も2020年、本格生産に入ると見られる。
サンパウロ州はこれまで、石油生産ではさえなかった。ペトロブラスと聞いても、他所の話のように思われた。それが様変わりする。岩塩層下油田は複雑で、同層の中間にも多数の油田が散在する。
サンパウロ州は岩塩層油田の開発に大規模のインフラを築き、技術者を大増員する必要がある。カラグアタトゥーバには、天然ガスのマンモス処理場を建設する。サンパウロ州財政は突然の歳入で、ブラジルの台所として面目を施す。
ニューヨークの店頭でペトロブラス株は、開発投資基準の発表と同時に15・8%の値上がりをした。これは、ペトロブラスへ大口投資が投入される呼び水といえる。
岩塩層下油田では現在、サントス沖北部とカンポス油田の2か所のインフラが完成した。注目を浴びているサントス沖岩塩層下は今後、インフラを築く処女地帯だ。だから2013年までは目に見える結果は出ない。
岩塩層下では今、ペトロブラスが開発を独占している。処女地の開発段階では不測の事態に度々遭遇するので、独占体制のほうが能率的という。前人未踏の岩塩層開発のノウハウや相関関係にある技術も独占できる。
ガブリエリ総裁はPT(労働者党)の創立党員であるが、2010年の総選挙に立候補する意向はないという。もしもルーラ政権が終焉するなら、バイア連邦大学の教授職へ帰りたいという。