ニッケイ新聞 2009年10月17日付け
サンパウロ市で発生した強盗殺人事件が、9月までに08年の総数を超えた。
18日付エスタード紙によると、今年第3四半期までの強盗殺人事件は73件で、昨年総数の69件を突破。3四半期同士の比較では51件から43%の増加だという。
サンパウロ市での強盗殺人事件増加は決して大きな数ではなく、分析は困難とする専門家もいるが、窃盗と殺人の様に別々の調書が起こされた例もあり、実数はこれを上回るとの記述も気がかりだ。
金融危機発生以後、窃盗や強盗事件増加といった報道はサンパウロ市の他、国内外でもあったが、強盗殺人増加の具体的報道は衝撃も大きい。
事件発生を四半期毎に見ると、第1四半期27件、第2四半期25件、第3四半期21件。第3四半期の地区別件数は、セントロ1件、北部と西部各3件、南部5件、東部9件となっている。
軍警広報担当者によれば、車使用中を襲われた例が最多で、犯人は犯罪に不慣れな小者が多い。精神的に未熟で感情抑制も出来ない犯罪者が、被害者以上に神経質になり、殺人に至るケースが多いという。
警察側の主なアドバイスは、抵抗しない、身動きする時は、財布をとるからとかシートベルトをはずすからといった具合に、目的を告げてから動く、車のドアや窓はきちんと閉め財布やバッグは人目に付かない所に置く、停車中や歩行中の携帯電話使用を避け、周囲に気を配る、など。
それでも、自宅前で襲われ、無抵抗で車を渡したのに銃弾を浴び死亡など、その場の流れに左右され易いのも強盗殺人事件。結果予測や防止が困難とされる所以だ。
サンパウロ州アシスでは14日朝、11歳の少女が、自分が使っていた果物ナイフの上に倒れてケガをした6歳の少女を、親に叱られるのが怖くて殺すという事件も発生。
顔を見られた、捕まるのがいや、自分も殺されるかと思ったといった理由で簡単に人を殺める風潮と、失業問題などが一つとなって表面化したともいえる強盗殺人事件増加。景気は好転し始めたが、夜間の調書作成限定など、24時間対応でない警察署増加が及ぼす影響も、サンパウロ市民には気がかりなことだろう。