ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | 北東部=SF河疎水工事を加速=選挙前に大統領悲願成就へ

北東部=SF河疎水工事を加速=選挙前に大統領悲願成就へ

ニッケイ新聞 2009年10月17日付け

 PAC(経済活性化計画)の一環であるサンフランシスコ河の疎水工事を加速するためルーラ大統領は15日、法令の拡大適用変更を行なったと16日付けフォーリャ紙が報じた。社会統合省から上程し議会で承認を得た別目的の法令に、同疎水工事の用地接収予算を便乗させる方法だ。
 同疎水工事は5年の予定が、用地接収でつまずき完成が大きく遅れた。契約期間内に接収が実施されないと、公共工事用地の大統領令が無効になる。用地接収を加速するための予算獲得は、無効回復を申請する2010年5月まで待たねばならないことになる。
 接収用地の地主は殆ど、土地の所有権利書を持っていない。だから接収するには、過去に遡って用地の所有権を合法化する必要がある。これも用地接収が遅滞した原因だ。接収の完了が15%に過ぎないので、疎水工事が進んでいない。
 同河の疎水工事は、干ばつに苦しむ北東伯農民に慈雨をもたらすルーラ大統領の悲願であった。疎水工事の完成は、次期大統領選の目玉。北東伯の荒野に緑を蘇らせるなら、ルーラは歴代指導者ができなかったことを結実させる救世主だ。
 総弁護庁に山済みされる訴訟書類4419件のうち、2048件は接収に関するもの。公共工事の用地接収は、裁判所の仕事といえる。地価などあってないような土地の取引なのだ。
 地価は、5年の歳月をかけて交渉する。接収地の支払いは、気の遠くなるような長期分割払い。それでも政府は、北東伯の人々に接収費用というお小遣いを配る。これは票買収ではないかと、サンパウロ州知事が抗議した。
 大統領は「セーラ知事のブラジル地図には、北東伯が欠けているのかと思っていた。セーラが北東伯を心配するとは初耳である。北東伯が話題になるのは、選挙のときだけ。選挙が終われば北東伯など忘れてしまう」と皮肉った。