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ヘリ撃墜にバス焼き討ち=リオは戦争状態と国際放送=麻薬密売者と警察の抗争で

ニッケイ新聞 2009年10月20日付け

 17日未明、リオ市北部サンジョアンの丘を支配する麻薬密売組織コマンド・ヴェルメイリョ(CV)が、ライバルのアミーゴス・ドス・アミーゴス(ADA)の支配するマカコスの丘侵入を試み、軍警ヘリコプター撃墜、バス焼き討ちなどの大騒動に発展した。
 17~19日付G1サイトや18~19日付伯字紙などによると、CVがマカコスの丘へ侵入を開始したのは、17日未明。フェスタ帰りの青年4人の車も襲われ、小銃射撃で3人が死亡など、銃声に慄き眠れぬ夜を過ごした住民も多い同丘周辺には、事前に動きを察知した警察が前夜のうちに警官を配備していた。
 しかし、夜陰に乗じて行動を開始した密売者に対し、市民の巻き添えを避けたい警察側は、夜明けを待ち、行動開始。
 二つのファヴェーラに入った警察側の注意をそらすため、複数の地域でバス12台の焼き討ち行為に出た密売者達は、小銃などの重火器も使って抗戦してきた。
 BBCなどの国際テレビでも放映された軍警ヘリ銃撃が起きたのは、10時頃。底部のみが防弾処理され低空飛行中だったヘリは、側面から射撃を受けたのか、火を噴きながら、近くのサッカー場に不時着。まもなく爆発炎上した。
 乗組員は6人で、17日には銃撃のため機内で死亡した軍警を含む2人が死亡、4人負傷と報じられたが、19日には体の80%の火傷で入院していた軍警も死亡した。
 抗争のきっかけはパラナ州カタンヅーヴァの監獄内のCV幹部からの指示だというが、最重度の警備といわれる同監獄にして、屋外との交信が可能だったという事実や、密売者達が対空砲を含む重火器を有すると知りながら、底部だけが保護されたヘリ使用を認めていた治安当局のあり方なども問題視されている。
 19日までの抗争絡みの死者は19人で、抗争再発の可能性が常時あるリオ。世界各国の報道の中には五輪開催時の治安を懸念するものもあったが、リオ州知事は、犯罪撲滅対策は進行中で、14年W杯や16年五輪開催に懸念は不要とコメントした。17日に軍派遣を打診した法務相も、州知事から派遣不要との返事をもらったという。