ニッケイ新聞 2009年10月20日付け
ルーラ大統領は16日、外国資本の流入に課税し、レアル通貨の高騰を抑える暫定令を制定することで了承と17日付けフォーリャ紙が報じた。同令制定の理由は、投機目的の短期資金流入を防ぐもの。
今年に入ってドル通貨は26・8%下がり、ブラジルの輸出を著しく低下させた。税率は投資期間に反比例するようにして、一定期間以上経過すると免税になる。
政府はさらに資本市場で、確定利付き投資ばかりでなく、IOF(金融税)を課している配当金にも新たな課税を検討中だ。外資は金融危機で国内の流通が枯渇した折、大歓迎であった。
ブラジルの都合だけで外資を冷遇することに、政府はちゅうちょした。短期の外資が今年6月から8月、3億2200万ドル流入と中銀が発表。その3カ月前は、1億8600万ドルだ。
対ドル為替相場が1・70レアルを切る勢いなので、政府は行動を起した。雇用創出につながる長期投資を歓迎し、ブラジルの高金利に食指を動かす短期投機を忌避する課税の研究を始めた。
暫定令は26日、発表予定。外資の流入が輸出業界に解雇の兆候を見せ、経済や政治に影響を及ぼすことが懸念されている。それでも政府は、変動性為替を変更する意向はないようだ。
8・75%の政策金利に賭ける短期投資をけん制するためマンテガ財務相は、さらなる引き下げを検討している。しかし、ブラジル経済の好調な回復で引き下げ理由が見つからないようだ。
サンパウロ市証券市場の確定利付き投資は、長期も短期も有利に展開し、魅力的な金融商品となっている。株価指数は危機以前の水準に完全回復し、上昇気流に乗っている。
同証券市場には6月までに、30億ドルの外資が投入された。年末までに220億ドルが入る見込み。中銀の余剰ドル買上げは200億ドルに及ぼうとしており、外貨準備高も、10月中に史上最大の2300億ドルを突破している。