ニッケイ新聞 2009年10月20日付け
ブラジル日本商工会議所(田中信会頭)の10月度定例昼食会が9日正午からサンパウロ市チヴォリ・サンパウロ・モファレッジホテルで開かれた。約100人が出席。今月はエンブラエル社コンサルタントの横田聡氏(前企画戦略・技術開発副社長)が「ブラジルにおけるハイテク企業の歴史」をテーマに講演した。
在聖総領事館からは8月18日に着任した小林雅彦首席領事が出席し、91~96年のサンパウロ市での勤務を振り返り、「我が家に帰って来た気分。これからも日系社会との関係を強化していきたい」と挨拶した。
田中会頭の歓迎の辞に続き講演が始まった。横田氏は、1940年代末、ブラジルでは製鉄事業は全くなく、航空機産業に利益性はない、と言われていた時代に同産業に着目し、国営企業として69年に始まったエンブラエル社の歴史を説明した。
空軍技術研究所が出来て以来、双発ターボ付きのプロペラ旅客機「バンデイランテ」や「ブラジリア」が開発され、技術が飛躍的に進歩。70年代の後半から、米国航空業界が低密度路線で世界へ進出して以来、それまでセスナなどの自家用機の供給しかなかったが、10~15人乗りの需要が徐々に増えていったことなどを紹介した。
90年代には湾岸戦争や世界的な不況が重なり、同社は破産寸前の状態だったが、94年の民営化を経て50~70人乗り旅客機で挽回、競争力をつけた。
横田氏は同社が成功した理由として、「新しいものは何も無い」と語った上で、教育、技術、研究の全てを忠実に実践することが大切と述べた。
当日はNGKブラジル特殊陶業、ブラジル前川製作所、ブラジル日本曹達の代表が着任挨拶を行った。代表交代挨拶では、ブラジル島津製作所で5年間代表を務めた三分一克則氏が新任の加藤彰彦氏に交代することが報告された。
またインダイアツーバにあるトヨタへ自動車部品を納品するカンジコー・ド・ブラジル有限会社、コンサルタント業務を扱うブラジル・ボイデンなどが法人会員として入会し、それぞれ自社の紹介を行った。
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また、平田藤義事務局長から、来年、同会議所が創立70周年を迎えるに当たり記録集を発行する旨発表があり、会員企業が発行した記念誌の提供を呼びかけた。