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保護区での牧畜を許可!=時代の流れに逆行の判決=森林伐採1位のパラーで

ニッケイ新聞 2009年10月22日付け

 連邦裁判所がパラー州ジャマンシン国立公園内での不法牧畜者の営農継続を許可したと21日付エスタード紙が報じた。
 パラー州の森林伐採はマット・グロッソ州を抜いて1位となったと9月2日付エスタード紙でも報じられたが、同公園があるノヴォ・プログレッソは同州内でも伐採量の多い地域の一つだ。
 このため、環境保護区でもある公園内での牧畜を規制すべく、国立再生可能燃料資源・環境院(Ibama)が、8月からボイ・ピラッタ作戦第2弾を展開。公園内の牧畜家に他地域への牛の移動を求め、期限内に従わない場合、不法飼育の牛没収も行っている。
 これに対し、公園内で営農している7組の牧畜家達が二つのグループを作り、裁判所に作戦執行停止を要請。この要請を連邦裁判所判事2人が認めたという。
 判事の1人は、長年かけて行われてきた牛の飼育を、短期間で移動、立ち退きに至らせるのは不可能と判断したと説明。一方、Ibamaと環境省はブラジリアの連邦地裁に控訴済みだ。
 第1回ボイ・ピラッタ作戦では、州判事が作戦停止の判決を下した後、環境省が勝訴したという経緯があるため、ミンク環境相は、今回も連邦地裁で勝訴できると踏んでいるが、「5月の伐採が最も多かったノヴォ・プログレッソでの伐採継続は容認できない」との姿勢も明らかにした。
 法定アマゾンでの森林伐採削減はブラジルの温暖化防止対策の最大テーマでもあるだけに、公園内で営農する牧畜家の提訴承認は、Ibamaの行為の正当性を否定し、公共地内の不法滞在や不法営農を認めることにつながると、アマゾン人間・環境院(Imazon)調査員は懸念。連邦検察庁も、今回の判決が維持されれば、環境権侵害行為を見逃すことにもなると警鐘を鳴らしている。
 Ibamaによれば、ボイ・ピラッタ作戦の目的は森林伐採の拡大防止で、同公園では、6千頭の牛を1週間で移動させた牧畜家もいたという。同作戦で没収された牛625頭と羊101頭は、20日に飢餓ゼロ作戦に寄贈された他、作戦執行により生活の術を失った人達の支援のための競売も計画中だという。