ニッケイ新聞 2009年10月24日付け
サンパウロ市ボン・レチーロで21日から、救急車両SAMUの新しいセンターが発足と21日付エスタード紙が報じた。
高齢者増加や交通事故多発などの他、23日付同紙がバス専用レーンの代わりにモノレール建設の検討開始と報じるなど、渋滞解消にも手間取るサンパウロ市では、救急車の迅速性は大きな課題だ。
その意味で、呼び出し電話192を一手に引き受けるボン・レチーロのセンターは、救急車の稼動性を高める最新機材も備えたラ米最大の出動基地で、現場到着まで平均18分だった所要時間が、10分程度に短縮されると期待されている。
もちろん、呼び出し電話193の消防署とも連動。緊急の医療処置を必要とする事故や病気の現場での迅速かつ適切な対応が目標の新センターでは、電話が入り次第リアルタイムで現場を特定。活動現場の状況や市内各地の出動基地、各車両の現在地なども、大型画面で提示されるという。
04年の活動開始時は63台だったサンパウロ市SAMUの救急車が、09年には65カ所の基地に177台配置の情報は、市民にとっても心強い。
また、10日付同紙によれば、保健省が08年の導入を約束した〃モトランシア〃が、サンパウロ市でも31日から出動開始。
全国145市に配置され、連邦直轄区とサルバドール市では既に実用化しているSAMUのモトランシアは、バイクによる救急隊で、サンパウロ市には80台が配置される。
サンパウロ市消防署では01年から導入され、1日平均30件の出動実績を持つモトランシアだが、サンパウロ市SAMUでの実用化が遅れたのは、隊員養成に手間取ったため。緊急医療知識と運転技術の双方が要求される隊員は、現在8人が認定済み。月末からは、新たな養成コースも開設される。
モトランシアでは、患者移送や医師の同伴が必要な手術などは出来ないが、事故による大量出血や、脳や心臓の血管障害などの場合に、10分以内の現場到着という迅速性を発揮。サンパウロ市消防のモトランシアでは平均4分で現場到着という実績もあるだけに、渋滞による影響が少ないモトランシアや新拠点の支援を受けた救急車の活躍が、患者の命を救うケースが増えそうだ。