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公有地分譲計画=他人名義の合法化申請で=地元有力者が逆用=法整備を機会に買い占め=態勢不備下の目標達成は

ニッケイ新聞 2009年10月29日付け

 法定アマゾンの公有地6740万ヘクタール分譲計画のマルコ・A・デウフィーノ法定代理人は27日、多数の他人名義申請があることを明らかにしたと28日付けフォーリャ紙が報じた。政府は4カ月前に同計画を発表、既に大地主や市長などが動いているという。同分譲地は現在、無断占有者が占拠する無法地帯となっている。政府が、それを分譲によって合法化を試案したが、受け入れ態勢がないため本来の目的達成を困難とする報告書が提出された。

 公有地分譲計画は、地元有力者の土地買占めによって格好のかもねぎとなっているようだ。現地からの報告によれば、同計画での不正取引を避けるためAbin(国家情報局)や連邦警察、Sipam(アマゾン保護団体)、農地改革省の合同班が監視している。
 分譲地の合法化と書類作成は、パラー州ウリアノーポリスとマラバー、パラゴミナスの各市で開始された。ブラジルでは、最も土地係争が激しい最果ての地だ。
 報告書は第1段階として6月、不法伐採の多い43郡の整備作業から始めた。ウリアノポリスのジョナス・ドス・サントス市長(PTB=労働党)と大地主連合が、作業のボイコットに出た。
 同市長は先ず、入植者の現地視察用バスの提供を拒んだ。打ち合わせてあった数々の市作業を怠った。大地主の農場近くに居住する小農には、地主が分譲申請を禁じた。申請すれば、小農の家族が生命の危険にさらされるというのだ。
 親から引き継いだ小農の農地を、大地主が分譲で接収するという脅迫もある。別の小農は自分の耕作地の合法化手続きに赴いたところ、既に農地は他人名義になっていた。大地主が差し向けた名義賃貸人が、他人の農地を横取りしたのだ。
 合法化作業は地方都市で行なうため、パソコン不足やメンテナンス不足などがある。他に管轄省庁の連絡不足や不案内もある。小農や小作人などに法的手続きの説明不足や事務的な欠陥もある。
 同分譲計画が直面するのは、現地の地理的事情に詳しい測量会社と業務契約を結び、土地登記事務所の業務近代化と法的保証制度の確立など。これまで不法占有者であったのが、晴れて正規の地主になれるのだ。
 法定アマゾンには不法な力で他人の土地を強引に略奪し、支配する大地主が多数いる。これらの不法に占拠した大農場にも法のメスが入り、区画整理が行なわれることになりそうだ。