死の影迫るビリングス湖=高濃度の燐や銅、水銀検出=青サギなどに絶滅の危機
ニッケイ新聞 2009年10月30日付け
大サンパウロ市圏の水がめの一つビリングス湖の08年の水質調査の結果が発表され、同湖と周辺の生態系が益々脅かされている事が明らかになった。
29日付エスタード紙によれば、下水処理施設が機能停止状態となっているリベイロン・ピーレス周辺は最悪の水質で、それ以外の地域は悪か標準との評価だというが、それでも、漁師や周辺の住民によれば、魚の収穫量は目に見えて減り、最低4種類の鳥が絶滅の危機にあるという。
また、水質汚染の影響は、同湖に注ぎ込む川の流域での蛙の減少などにも表れており、魚類や鳥類、両生類の生活が脅かされている事が判る。
水質悪化が数年来言われつつ、改善の兆しが見られない同湖だが、同湖の水質汚染の第一原因は未処理のままの生活排水の流入。燐濃度が高くなった事で藻の繁殖が広がり、水中酸素の量や透明度も悪化の一途だ。
また、藻の繁殖に伴って起きてきたのが、銅濃度の上昇。水道局が藻の繁殖を抑制するために投入した薬品の影響だが、飲用水の取水口に近い水域で濃度が高い事が懸念される。
一方、化学物質や重金属による水質汚染の元となる工場廃水の問題も大きく、日本では水俣病の原因ともなった水銀などは、水質基準の2倍に当たる0・2ミリグラム/リットルを検出。
水道局では、08年全体を見ても、取水口近辺での水銀値は基準値以下だったというが、同湖の水は飲用ばかりではなく、漁によって生計を立てる人や、釣りなどを楽しむ人達がいる。
サンパウロ州水道局では、ビリングスやグアラピランガ周辺の45のファヴェーラからの生活排水を処理するため、総額13億9千万レアルの下水整備計画を立案。28日には世界銀行からの1億ドルの融資契約にも調印した。
上下水道設備への投資1ドルにより、保健衛生関係経費は4ドル節約できるともいうが、地域住民の健康の維持や、絶滅や減少の危機にある生態系の保護、漁師など、同湖に生計を依存する人々の生活保障の意味でも、同湖の水質保全のための具体的かつ総合的な対策が練られ、迅速に実行に移される事が必要だ。