借家法改正案=家主に有利な配慮=家賃滞納は30日で立ち退き
ニッケイ新聞 2009年10月30日付け
上院は28日、家賃を滞納する借家人の立ち退きを容易にする借家法改正案を承認、大統領の裁可を待つのみとなったことを29日付けフォーリャ紙が報じた。
家主が悪質な借家人を恐れて、賃貸を拒否する空家の増加を防ぐのが、同法案の目的とされる。借家人夫婦が、離縁または別居した場合の支払い責任者と借家条件も明記することになった。
同法案は1991年に制定された借家法の改正案で、ジョゼ・C・アラウジョ下議(PDT=民主労働党)が上程。これまで立ち退きは裁判所の判断であったが、これからは家主が契約書に従い決めることになった。
家賃を滞納すると、裁判所が支払いを通達する。借家人は通達から30日以内に、滞納分の保証義務が生じる。それがないと、裁判所は即時立ち退きを命じる。
これまで保証人は借家契約の期間中、責任を負わされた。それが120日以内に代理人を指定すれば、解除ができる。保証人は契約の初期だけ所得証明を行なったが、新法は契約更新の度に所得証明を行なう。
家主は、借家契約の更新が義務であった。それが、よい条件またはより高い家賃で借り手がいれば、借家人に物件の返還要求ができることになった。契約終了前の物件返還は違約金を払わされたが、新法は残り期間分のみを払うとなった。
これまで立ち退きは、滞納家賃と物件返還で2件の提訴を行い6カ月の猶予が与えられ、物件返還まで平均14カ月を要した。それが新法で、30日以内となった。
現在ブラジルには、空家が300万戸ある。家主はブラジルの借家法が、非現実的だから遊ばしておいたほうがよいと考えている。不幸にして借家契約期間を履行できない場合、罰金が過重なので二の足を踏む例が多い。それを是正するための改正案だとしている。