ニッケイ新聞 2009年11月6日付け
国庫庁は4日、国外の投資家がドル通貨をレアル通貨に両替する必要のない方法を草案中と表明したことを5日付けフォーリャ紙が報じた。ドル通貨の下落を抑止するため政府は、国外でレアル建て国債を発行する。またサンパウロ市証券取引所に対し、金融取引供託金を国外で積み立てることを許可する。配当が有利なブラジル国債への買い圧力を緩和するなどが、第1の目的。第2は、ドル通貨を国内へ持ち込まないこと。政府は数々の対策を思案中だが、ドルの流れを止めるのは至難の業と見られる。
外資流入に対するIOF(金融税)課税に続き第2弾、投資家にドル通貨からレアル通貨への両替をさせない方針を打ち出す。国債を国外で売り、その通貨を国内へ持ち込ませないなどだ。
高金利国ブラジルの国債は、金利と為替で儲かる魅力の金融商品と国際市場で見なされている。その国債が国外にいながら、ブラジルにいるのと同じように取引できる。先物取引につきものの供託金は、国外で預金させる。これは、ボベスパの海外資産となる。
中央銀行は、都市銀行に国外での債券発行を許可する法案を草案中だ。これまで都市銀行は、CDB(定期預金証書)によって資金調達を行った。それが独自に、低利資金を国外で調達できる。これもドル流入阻止に、役立ちそうだ。
ブラジルへのドル流入の傾向は、3年位続くと政府は見ている。そのため政府は、国外投資家へ通貨の柔軟性を与えた。ブラジル国内へ持ち込まなくても、国外でブラジルの金融取引をできるように便宜を図った。
この方針は、さらに通貨の需要を生む可能性がある。投資家は金を持たず、ブラジルにやって来ても投資活動や国債購入ができる。その場合、為替への影響はない。
懸念される問題は、国外に預金したバネスパの供託金を、何の支障もなく国内へ持ち込める法的保障を確認する必要があること。為替は固定制ではないが、完全変動制で放任すれば1・30レアルになりかねない。変動制は建前で、本音は1・70レアルの固定制にする考えのようだ。