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治安法補足令=軍隊に警察権付与か=不気味な治安政策=犯罪鎮圧と地下資源保全に=サッカーW杯や五輪に向け

ニッケイ新聞 2009年11月7日付け

 政府は5日、陸海空軍に容疑者の尋問、拘束、拘留、車両や施設の検閲ができる警察権を付与する国家治安法補足令97を草案中であることを明らかにしたと6日付けエスタード紙が報じた。益々拡大するスラム街を統治するため、軍隊に法的権限を与え、機動化する犯罪組織を取り締まる方針。同補足令は11月、議会へ上程され、国防相は舞台裏から表舞台へ出ることになる。三軍はそれぞれ人員が補充され、基地も増設される。
 W杯サッカーや五輪開催のための犯罪組織鎮圧を機に軍部へ警察権を与えることで、警察国家の枠組みが作られそうだ。警察権付与の表向きの理由として、国境警備や地下資源の保全活動なども挙げられている。
 同令の最終審理は、官房室で専門家によって行われる。その後、大統領と法相、総弁護庁によって認証。国防相は名目上の全軍総司令官で、全権力が集中する。
 これまでは警察活動と混同され易く、問題となっていた、スラム街での麻薬密売者制圧や選挙時の治安維持のための出動も、正規の軍務扱いとなるため、軍によって拘束や拘留されると、民事裁判ではなく、軍事法廷へ引っ張り出される。
 1994年と95年にリオ・スラム街の鎮圧に当った兵士が、事件を起し、民事法廷へ訴えられた。兵士は法的保護がないため、自費で弁護士費用を払った。このような不都合はなくなる。
 国境地帯では現在、陸軍だけが陸地に限り警察権を与えられ、海空軍にはない。それが新補足令により海上や河川、成層圏でも警察権が付与されることになる。
 空軍には、新たに次の補足令が付記される。撃墜法や追撃法、航続阻止法、不審機の操作介入、不審機尾行、強制着陸、不審機の操縦士や操縦スタッフ、旅客などの全員拘束と軍事法廷への引渡しなどがある。
 ゴイアス州クリスタリーナで先週、150キロのコカインを積載した単発機を、威嚇射撃で近くの農場へ強制着陸させた。警察権のない空軍は連邦警察へ報告、連警が現場へ到着するまでに操縦士らは逃走した。
 警察活動に参加する軍隊は、警察予備隊なのか。警察と軍部の位置付けが問われそうだ。軍最高指揮官の任命は、国防相の指示に従い大統領が行なう。任命権はあくまで大統領にあるが、従来は国防相への打診や事後承諾で済んだ任命も、今後は事前指示を要する。
 最も重要なのは、三軍の命令系統だ。法令上三軍の地位は、国防相の指揮下にある。しかし、実戦要務令は三軍で立案し、国防相名で発せられる。従って国防相の地位とは、象徴性の高いエリザベス女王のようなものといえそうだ。

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