ニッケイ新聞 2009年11月10日付け
ラチンパネル調査会社は8日、北伯と北東伯で今年9月までの過去12カ月で最下層のD、Eクラスが食品と洗剤、衛生用品などの生活必需品に88億レアルを消費と発表したことを9日付けエスタード紙が報じた。これは南東伯の上層階級A、Bクラスの同期における消費を5%上回り、状況逆転を示唆している。この現象は、金融危機とインフレ鎮静、所得向上がもたらしたと見られる。同時にこれまで商工業が重視してきたCクラスは、下層クラスに席を譲った。
この調査は生活必需品に限った場合だが、北伯と北東伯の下層階級が南東伯の上層階級よりも魅力ある消費層となりつつある。同期における南東伯の上層階級の同消費は、84億レアルに留まった。
昨年同期の調査では、南東伯の上層階級消費が北伯と北東伯の下層階級消費を5%上回ったが、今年はこれが逆転した。これは数々の要因が、重なったためとされる。調査は8200世帯で65種の生活必需品について行なった。
北伯と北東伯では全世帯の40%を占める、DEクラス690万世帯が月4最低賃金(1860レアル)以下で生活している。南東伯では全世帯の45%のABクラス490万世帯が月10最低賃金(4650レアル)以上の所得を有する。
LCAコンサルタントのブラウリオ・ボルジェス氏は、逆転劇を最低賃金5・7%調整の影響と見ている。同地域には、年金生活者や生活扶助金の受給者が今年上半期、7・7%増えた。南東伯では、3・1%増。北伯、北東伯は2倍強だ。それにインフレの鎮静化が、下層階級により多くの恵みをもたらした。
各社の営業戦略は、クラスCからD、Eへ移った。これまでローン戦略で軽視したD、Eクラスは、可処分付加価値やインターネットへのアクセス、ケーブルTV、委託クレジットなどはないと度外視していた。
メーカー各社は、北東伯のD、Eクラス向けの商品開発に励んでいる。北東伯の主婦は、20グラムの粉末ジュースを15人の子供に飲ませ、まだジュースの味がするか試してから買う。年金生活者も安売りを狙い、こまめに買い物など、生活スタイルも変化している。
今回の調査結果は、北、北東伯の経済成長を反映していることの他、上層階級ほど危機の影響を受けており、相対的に下層階級の存在が上がって生きた形のようだ。