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レアルが課税前水準へ=ドルは不安定通貨=内需拡大で為替不安克服=変動は成長過程の証拠

ニッケイ新聞 2009年11月11日付け

 サンパウロ市証券取引所(ボベスパ)の為替相場が9日、IOF(金融税)課税前水準の1ドル=1・701レアルへ戻ったと発表したことを10日付けエスタード紙が報じた。新たなドル安は、投資家のブラジルへの期待がさらに高まっているものと市場関係者が判断している。中央銀行のメイレーレス総裁は「ドル通貨は引き続き不安定であるが、ブラジル経済は内需で支えられ、外貨獲得の余裕があるため経済成長に大きな支障を来たすことはないと見ている」と述べた。

 外資の過剰流動性抑止のために公布したIOF2%は、これで原点に戻った。ドルは9日、1・05%下げ、10月20日の1・744レアルは、気休めに過ぎなかった。
 市場関係者は、レアル通貨の過大評価に政府の対策第2段を期待している。外国人投資家は、先物市場の金融派生商品を売買することでIOFをかわしている。
 財務省スタッフはIOFの逃げ道を塞ぎ、新たな対策に増税か中銀のオペ変更かを考えている。中銀は、ドルの振幅度を広げることを財務省に要求する考えだ。またカンフル剤としてレアル大増刷の噂もある。
 別の案は、株式公開の外資にIOFを免除。その代わり確定利付き投資に、タップリ増税する。しかし、これも一時凌ぎであって元の木阿弥という見方が多い。
 このような不利な為替環境の中、ブラジル経済は第3四半期にGDP(国内総生産)9%の成長を遂げた。しかし、年末の第4四半期には少し後退して、6%に留まる見込みとしている。
 メイレーレス中銀総裁は「為替変動は経済が成長過程にある証拠だ」という。気になるのは、はっきりしない米経済だけ。しかし、国際経済が不安定な米経済の影響を受けるのか、国際経済は米国を放って前進するのか観察しているという。
 同総裁はドル通貨の変動に振りまわされず、ブラジルは確実に経済発展することを期待するという。内需拡大による経済発展が、ドルの変動を抑える防振装置の役目を果たすというのだ。
 米国は未曾有の金融危機を克服するために、莫大なドルを増刷し、市場が流通量で満ちている。 米経済回復のために、米国は先ず通貨不安と戦わねばならない。この通貨不安の影響を受けるのは、ブラジルだけではないという。