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ブラジル・イスラエル=ペレス大統領が訪伯=イラン外交に先手を打つ

ニッケイ新聞 2009年11月11日付け

 イスラエルのシモン・ペレス大統領は10日、5日間の滞在予定でブラジルを公式訪問と10日付けBBCサイトが報じた。イランが南米諸国へ関係強化の布石を打っていることで、ブラジルと親交を深めて先取攻勢の構えを採ったようだ。
 同大統領の訪伯は、ブラジルにとって過去40年で初めてのイスラエル国家元首の来訪。その2週間後には、イランのアハマディネジャド大統領の訪伯が控えている。
 ペレス大統領は訪伯に先立ち、ルーラ大統領との会談でイラン大統領の訪伯に一切触れないと記者団に声明を発表した。訪伯時にイラン問題について言及するのは、適切でないという見方だ。
 両国の首脳会談は飽くまで個人的な会合と、在伯イスラエル大使館から報告があった。ルーラ大統領が2007年、中東和平交渉で仲裁の労を取る用意があると表明したことで、同件も話題に上ると大使館がいう。
 ルーラ大統領が国際間で話題の人となっていることで、ペレス大統領は胸を開いて忌憚なき意見を交わしたいと願っていると伝言があった。
 イスラエルにとってイランのラテン・アメリカ介在は、ネガティヴな要因以外の何物でもなく明白な懸念材料だとしている。伯イランの接近は、国際的な孤立を招くもので生産的でないと警告。
 しかし、ブラジル外務省はブラジルの外交政策に、一切の干渉を容認しないことを強調。それでもイスラエルとパレスチナ和平協定は、ルーラ・ペレス会談の議題となっている。ルーラ大統領の中東問題に関する意見も考慮されそうだ。
 ルーラ大統領の仲裁表明は意義が大きい。アラブ世界とイスラエルの歴史的な対立は複雑で根が深い。パレスチナの中にも過激派や交渉ボイコット派、イスラエル否認派などが入り乱れていることをイスラエル大使館が忠告した。
 ルーラ大統領は2期政権の間、アラブ諸国へは再々訪問したが、イスラエルの地は1度も踏んでいない。ペレス大統領は、ルーラ大統領に2010年のイスラエル訪問を要請する。
 ペレス大統領は、観光相とイスラエル経済使節団40人を引率。対伯貿易の拡大を希望している。イスラエルの対伯輸出は12億2千万ドルに対し、ブラジルの対イスラエル輸出は僅か4億ドルに留まっている。