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和歌山県人会=55周年記念式典盛大に=民間交流の活性化誓う=約6百人が駆けつけ

ニッケイ新聞 2009年11月11日付け

 紀州人の誇り大事に――。1954年に創立された在伯和歌山県人会連合会(木原好規会長)による「創立55周年記念式典」が8日、宮城県人会館で開催され、約6百人が歴史を振り返るとともに、県人会の繁栄を祝った。母県からは仁坂吉伸知事を始め、冨安民浩県議会議長、松本貞次県議会日伯友好議員連盟副会長、樫畑直尚県国際交流協会理事長ら公式訪問団11人、民間訪問団16人が駆けつけた。大部一秋在聖日本国総領事夫妻、羽藤ジョージサンパウロ市議、与儀昭雄ブラジル日本都道府県人会連合会会長らが出席した。

 和歌山県人のブラジル移住は1916年に始まり、戦前・戦後を通じ、1600家族、6千人とされる。
 1953年7月、第一陣松原移民22家族112人が南マット・グロッソ州ドウラードスに入植。
 これを受け、県人移住の受け皿として54年4月に県人会が創立された。初代会長は故竹中儀助氏。木原現会長は6代目となる。
 現在の会員数は、約2百家族。99年の創立45周年を記念し、会館の改修が行われ、活動の場となっている。県費留学生・研修生として、約130人が父祖の地で学んでいる。(ブラジル県連No5)
 舞台であいさつに立った木原会長は、「母県の支援や会員らの協力で、55年をかけて県人会は発展してきた」と感謝を示し、「紀州人としての誇りを持ち互恵の精神を深め、和歌山県の伝統と文化を継承する人材の育成に努めます」と感動した面持ちで話した。
 仁坂知事は、式典前日に訪問した移民史料館に触れ、「各家族が苦労を乗り越え、業績をあげた歴史がある。同胞の活躍を県に伝えたい」と話し、「皆さんに恥ずかしくない故郷をつくろうと思います」と述べ、会場を沸かせた。
 冨安議長は「両国の友好関係は皆さんのおかげ。このルーツを大切にしたい」と強調。樫畑直尚和歌山県国際交流協会理事長は、「民間レベルでの交流を活発に」と呼びかけた。
 80歳以上の高齢者155人が表彰を受け、代表の岡田弘さんが仁坂知事から表彰状を受け取り、「今日は最高の日」と謝辞で溌剌とした声を響かせた。
 功労者表彰では下本八郎さん、福島義久さん、中口千鶴さん3人に感謝状が送られ、その功績が称えられた。
 記念祝賀会では、ケーキカットが行われた後、谷洋一県議会議員により乾杯の音頭が取られた。
 午後は、舞踊や和太鼓演奏やカラオケなどが披露され、琴聖会による大正琴演奏「故郷」では会場も一緒に歌った。
 最後にサンバショーが行われ、来場者全員が参加する盛り上がりをみせていた。

節目に響く、喜びの声=松原移民28人も

 サンパウロ州ボツカツ市から訪れた同県人会員の笠間悦子さん(72、日高郡日高町出身)は、「県人会は私が来伯した年にできた。日本から多くの人が訪れ、一緒に祝ってくれ嬉しい」と満面の笑顔。
 民間訪問団の団長を務める和歌山県中南米交流協会代表・迫間脩さんは、「これからは民間レベルでの交流が中心になるのでは」と期待を込める。民間の訪問団は今回初で、14人が初来伯だという。
 和歌山市から参加した阪本美枝子さん(62)は、60年代に移民した県人会員から当時の話を聞き、「想像もしていなかった話を聞けました」。
 有田郡湯浅町の山下智左枝さん(53)は「涙ながらに語ってもらいました。生の話から実際の苦労を実感しました」と感慨深げ。
 第1回松原移民として田辺市から53年に移住した梅田幸治さん(85、サンパウロ市在住)は、「現地に行ったら何でもあるから『幸福移民』と言われ、ルイス号に乗ったけど、着いたら何もなかった」と破顔一笑、「母県からも多くが来てくれ、松原時代の懐かしい顔にも会えました」と嬉しそうに会場を見渡していた。