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12州で大規模停電=送電ミスが原因か=リスク解消宣言後の事故=米ではハッカー侵入説も

ニッケイ新聞 2009年11月12日付け

 サンパウロ州やリオ州など12州にまたがる地域で10日午後10時15分ごろ、大規模の停電が発生と11日付けエスタード・サイトが報じた。約4時間後に大部分の都市で復旧。停電の発生直後、当局はイタイプー発電所からの送電ミスが原因と発表したが現在、正確な原因調査を進めているという。米CBS放送が11日、2005年と2007年に起きたブラジルの大規模停電は、ハッカーによるコントロール・システムへの侵入であったと報じたが、伯側当局は現地での落雷事故と発表している。

 国家電力庁(ANT)によれば、イタイプー発電所から電力を送る1万4千メガワットの送電線が、突風または落雷によって切断と発表。
 サンパウロ州やリオ州、ミナス州、エスピリットサント州、南マット・グロッソ州、ゴイアス州、サンタカタリーナ州、ペルナンブッコ州、ロンドニア州、アクレ州、パラナ州などが軒並み大規模な停電に見舞われた。
 停電で2007年、エスピリットサント州が完全停止。2005年には、リオ州で同様の現象が起きた。CBS放送「60分」は、CIA(米中央情報局)のマックコーネル氏談話として、米システムの錯乱を狙ったハッカーの仕業と同様の手口であるとした。
 ブラジルの関係者は、ハッカー説を否定。米当局はブラジル当局へも、同ケースを連絡した。米当局はシステム破壊を狙うハッカー対策を練っているが、いまだ決定打がないというのだ。
 ロボン動鉱相は事実隠蔽を否定し、異常気象を原因と見ている。しかし、国家の心臓部がお天気任せとは頼りない話。治安機関や医療機関は非常用の自家発電で業務を継続したが、市中の混乱は尋常でなかった。
 電気の専門家によれば、異常気象は無難な口実だとしている。今回の停電には、2つのことが考えられる。1は送電線トラブル。2は送電ミス。原因を突風や落雷に帰すれば、誰も責任を負う必要がない。
 送電システムとは、群小発電所の発電量を受け入れ送電すること。消費電力は、時間によりムラがある。停電が起きた夜半は、電力需要が激減する時間帯。その電圧をどのように管理しているのかが、問題になる。
 送電トラブルなら、山野を巡る長い送電線のどこで問題が生じたのか調べる必要がある。政府は順調な降雨で停電リスクを否定したばかり。国家的インフラに係わることだけに、根本的見直しが求められているようだ。