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リオのミリシア領域拡大=武装勢力同士の抗争増加か=警官による死者も懸念材料

ニッケイ新聞 2009年11月12日付け

 リオ市西部で権力を持つミリシア(非合法的武装組織)〃リーガ・ダ・ジュスティッサ〃一掃作戦が10日に行われ、現職警官も含む19人を逮捕と11日付エスタード紙が報じた。
 10日付フォーリャ・オンラインやG1サイトでも報じられた〃テミス3作戦〃は、5月に同ミリシア首領格で元軍警リカルド・テイシェイラ・クルース、通称バットマン逮捕以降続いており、6月には、軍警21人、市警3人、消防士1人を含む39人を逮捕した。
 警官や政治家もいるミリシアでは、治安保障の一方、ガス販売やケーブルテレビ、交通手段などを押さえ、収益を得る。殺人や誘拐も行うリーガ・ダ・ジュスティッサの場合、下院議員や市議を務めたギマラエンス兄弟も首領格の1人だ。
 これらミリシアは、02年以降急速に拡大し、08年には市内965のファヴェーラの41・5%を支配。05年の支配率は11・2%だったことを考えるとその伸張振りが良く判る。
 これに対し、麻薬密売組織の支配率は、コマンド・ヴェルメーリョが50・1%から40・8%、アミーゴス・ドス・アミーゴスが11・2%から7・7%の様に減少中。10日の作戦に際しての銃撃戦の報告はないが、押収物の中には重火器類もあり、リオの武力勢力同士の抗争増加を危ぶむ声は高い。
 一方、国連なども注目しているのはリオの警官による死者の多さ。犯罪者との抗争も含め、過去11年9カ月の死者は1万人を超え、警官による死者数が殺人被害者以上の地区も三つある。
 9日付同紙は、警官に捕まったが2千レアルと小銃と引き換えに開放された密売者が、息子を殺された母親に「俺を捕まえた警官が、あんたの息子の胸に銃を付きつけて殺したと話していた」と教えた話も掲載。「犯罪者でもない息子は、金や銃を持たない故に殺された」と嘆く母親の声は、暴力犯罪被害者家族についての本に載っている。
 初任給900レアルとされるリオの警官が、報奨金故に相手を殺す事も辞さない、或いは、副収入目当てにミリシアに加担するとしたら、警官への信用回復はおろか、治安対策充実も不可能だ。

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