ニッケイ新聞 2009年11月13日付け
ルーラ大統領は11日、イスラエルのシモン・ペレス大統領が示唆したイランの孤立化圧力を拒絶し、要請とは逆にイランのアハマディネジャド大統領をブラジルへ招いたことを妥当化と12日付けフォーリャ紙が報じた。ルーラ大統領は、イランの中南米進出に歯止めをかけるイスラエルの意図に対するブラジルの考えを説明。さらにルーラ大統領は「一筋縄でいかない政治団体や宗教団体、武力闘争を望む団体とイスラエルが対話をしないなら、中東に平和は永久に訪れない」とイスラエル大統領を説得した。
イスラエルの一新聞記者が「イラン大統領とイスラエル大統領を同じ檻の中に招き、どうしてイスラエルと親交関係が結べるか」とルーラ大統領に質問をした。
大統領は「中近東諸国が、平和を望む国々の親睦団体に変革するためである。平和を望まない国は、排除する。そうしないと中東和平は不可能だ」と答えた。
シモン・ペレス大統領の歓迎式典は、友好的雰囲気の中で行なわれた。しかし、イランとブラジルの関係では、妙な空気が漂った。イランが通商関係で中南米へ接近していることに、イスラエルは神経を尖らせている。
ペレス大統領が10日、イランを「国際社会の危険物」とする言葉を発したとき、ブラジルはイランの立場を擁護した。この話題は、イスラエル・パレスチナ問題へも飛び火した。
ペレス大統領は、ブラジルが中東和平に仲介の労をとる意欲を示したことを賞賛。「現今の国際情勢の中で、平和と正義の確立を目指すブラジルが、中東に平和の灯を点すよう願う」という。
「ブラジルはテロに対して毅然とした姿勢を有し、ルーラ大統領はブラジルのリーダーから世界のリーダーとなる器。そのリーダーに接し得たことは、天恵であった」とを持ち上げた。
ルーラ大統領は、ペレス大統領にお説教を始めた。「イスラエルは、自国の安全保障としてパレスチナ国家の設立、接収地の返還、入植地の建設停止に合意すること」。
イスラエルとパレスチナは、平和国家建設のため、共存共栄すべきで、一方が他方支配する政治は断念する。「双方にとって唯一の要求は、国民が安心して生活ができることを保障すること」とさとした。
ブラジルがイラン・イスラエル対話の仲介をするから、両国はよく話し合うこと。中東和平への道を切り開くこと。対話の妨げとなるものは、ブラジルが排除する。イスラエルは、中東に恒久平和を築く言葉を「ひとこと」投じる必要があるとルーラ大統領が忠告。