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大停電は何を語る=原因はブラジル人の心にある
ニッケイ新聞 2009年11月13日付け
10日夜の大停電は、全国民にブラジルのインフラに対する不安と衝撃を与えたとするセルソ・ミング氏の論評を12日付けエスタード紙が発表した。古代ローマの哲人カトゥロは「明かりが消えるとは、確信が喪失すること」といった。
停電が引き起こす問題は、潜在的不信感にある。電気は発電すれば補える。送電もできる。しかし、不備な送電システムを放置して、なにも対策を講じない当局の無責任ぶりは電気関係だけではない。杜撰な管理システムが、ブラジルの慢性病となっている。
港湾、積み出し、運輸、航空管理、電話システムも停電と同じで、いつ突発事故が起きても不思議でない不完全インフラだ。問題の解決は簡単であるが、ただ時間を費やすだけで改善されることはない。そして経済の重荷となっている。
マラン元財務相は、ブラジルは不確定要因の国と呼んだ。それは裁判制度が、やたら長時間を要することの批判だ。ブラジルの官僚制度や治安システム、医療制度、教育制度も、停電と同じでインフラ整備が中途半端のまま放置状態だ。
何かが起きると改善の必要を訴えるが、喉元を過ぎれば忘れる。政治に至っては、何をかいわんや。停電が起きると、インフラ分野だけが攻撃される。しかし、ブラジル自体が休眠し、電気の停電ばかりではない。
どの分野も、膿が吹き出しかねない状態にある。しかし、何が決定的要因か分からないようだ。10日の停電で、ブラジルは何を学んだのか。シェイクスピアの言葉を借りるなら「問題は暗闇ではなく、無知だ」。それもブラジル人の潜在意識の中に潜み、停電の原因になるいい加減な問題意識のようだとミング氏が指摘する。