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東西南北

ニッケイ新聞 2009年11月13日付け

 10日(火)夜、サンパウロ州ジュンジアイー市で、洗車場での仕事から帰宅したウィルソン・サンタナさん。妻に「ねえ、あなた、このスイッチおかしいの。ちょっと見てくれない?」と頼まれてスイッチを分解したが、両手に持った導線の端を合わせた途端、家中が真っ暗に。「ねえ、どうしたの。今、おむつを取り替えているんだから、早く直して」と妻に言われたサンタナさんが、配電盤を調べようと外に出ると道も真っ暗。「わー、やばい。僕、停電を起こしちゃった」と驚いたが、遠くまで広がる夕闇に、「いや、これはきっと僕のせいじゃないよ」と思い直して家に戻った。翌日のテレビで、停電が全国18州で起きたと知ったサンタナさんは、「ブラジルの電気を消したのは僕じゃないよ」と笑いながら言ったとか。
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 サンタナさんの話はほのぼのとした雰囲気が漂うが、笑って済まないのがサンパウロ市やリオ市などで続く断水。サンパウロ州では1千万人に影響した11日の断水は徐々に解消しているものの、12日昼過ぎにも、サンパウロ市で20万人、リオ市で18万人が断水に苦しんでいるという。停電で断水とは予想外と慌てた人も多い筈だが、防災キットなるものは市販されていないブラジル。大停電の引き金になったのが本当にサンパウロ州イタベラ周辺での悪天候だとしたら、落雷らしき音は一度しか聞いていないなどの住民証言から見て、もっと頻繁に大停電が起こる可能性が出て来るが…。
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 イスラエルのペレス大統領を迎えたばかりのブラジルだが、20日にはパレスチナ自治政府のアッバス議長を迎えるとアモリン外相が公表した。翌週にはイラン大統領訪問も控えており、ブラジル外交官には慌しい11月。中東和平仲介の道はいかに。